第10話 ギルドリーダーは鈍感で光で

 クロウが去った後……メンバー達は話し合っていた。


「なんでうちのリーダーはあそこまで鈍感なのかしら?」


「そこがクロウ様の魅力のひとつでもありますが……」


「アルマちゃん、さっきはなんで凄い険しい顔してたの?」


「むくー。クロくんがね、ウチの対応が雑なのにラフィアには優しい対応するから!」


「にぃにー……」


「マスター……」


「はぁ〜いユマちゃん、アリーちゃん。クロウちゃんと離れるのは一時だからそんなに悲しそうにしないの。ほら、お姉ちゃんがクッキー焼いたから向こうで食べよう」


 ムクリ。


「主が俺に怒ってらっしゃる……」


「若がわたしと居たくないとは……」


「こうなったのもお前のせいだぞ、ホルス……」


「あぁ? 元はと言えば、お前の短気が災いしたのだろう、ガルガ……」


「ガルガ、ホルス。これ以上乱闘を続けるなら、今度こそ死んでもらうわよ?」


「チッ……」


「ふん……」


 喧嘩するガルガとホルスにやれやれとため息をつくルルシーラは、クロウが出て行った扉を見つめる。


「……それにしても彼は本当に鈍感だわ」


 自分の実力もさることながらそれを自慢する訳でもなく、むしろ隠している。


 あの仮面だって私達の間では暗黙の了解で触れないようにしているけれど、何故、彼は素顔を見せるのを嫌がるのかしら? 

 私達は彼がどんな顔でも受け入れられる。

 だって彼は私達にとっての唯一の希望、光だから。


 あの日、私達は捨てられた、見捨てられた、裏切られた、売られた……そんな絶望の中手を差し伸べてくれたのは彼。


「貴方が手を差し伸べてくれたのなら……私達は貴方を絶対に離さないわ」



 これは自称ブサイクな主人公クロウとそのクロウを崇拝レベルで慕うギルドメンバー達の物語である。

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