第74話 覚悟は、覚醒の時①

「勝つのは僕らァ? お前は勝てないだろ、キシャシャシャシャ!!」

「…………」


 『デンワ』を使用しているクロウの視線の先には、馬鹿にしたような笑みのイーフリートがいた。

 どこも傷がない、疲れた様子もない、五体満足の姿で。

 

「ロクに攻撃が通らないッ。通ったとしても俺様はすぐに回復するッ。お前は結局、何もできてはいッ。ただ時間だけが過ぎていくッ。どこに勝ち目があるんだよ……ォ? なァ? キシャシャシャシャ!!」


 煽り口調のみならず、目元まで細めて心底、馬鹿にするイーフリート。


 完全にクロウを舐め腐っている。


 だが、イフリートの言う通り、クロウは攻撃を捌きながら反撃するも、すぐに回復する不死身のイフリート自体には決定的なダメージを与えられず……。

 見えない壁に攻撃が弾かれてしまうということの解決策も思いつかず……。


 状況は依然、変わらないままでいた。


「………」

「どうしたァ? だんまりしてェ? もしかしてもう終わりかァ? 諦めたのカァ? キシャシャ!!」

「………」

 

 どんなに煽られようとも、クロウは顔色を変えない。


 


 イーフリートのこの煽りを聞いているのは、なにもクロウだけではない。


 『デンワ』を使用しているため、繋がっている悪魔の凱旋ナイトメア、全員が聞いているのだ。


 彼女たちの表情は……言わずもがな、殺気に溢れていた。


「お前は僕が倒す」


 クロウは力強く、言う。

 まるで、通話越しの殺気立っているメンバーたちにも言うように。


「ハァ? まだ言っているのかァ? 無理に決まっているだろゥ? ヒッヒッ……」

「………」

「……チッ。気に食わないなァ、お前ェェ。どこまでも気に食わない……」

「ふぅ……。今こそが覚悟……覚醒の時だ」

「はァ?」


 クロウはプツンとデンワを切り……静かに剣を構える。


 集中している様子。

 ———何か、やるつもりだ。


「ハッ、まだ何かやろってか? 諦めの悪いガキだなァ。……ハァ。あー……ムカつく。もうおまえ、コロス……」


 イーフリートの目もまた、殺気に満ちたものに変わった。

 




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