第35話 純白パンティー
「3日間のギルドリーダー交換会、お疲れ様」
ギルドハウスにて。
ゾイズさんの労いの言葉に各ギルドリーダーはホッとした様子だった。
「まだ先のことだが、ギルド対抗闘技大会もあるから今回の経験を活かせるようにしろよー」
と、話は短めに終わった。
「クロウ」
「ん? あっ、パンティーくん」
初めて名前を呼ばれて思わず、二度見してしまった。
「い、今まですまなかった。散々敵対して……」
あれ? なんか言葉使いと雰囲気が……。例えるなら青菜に塩って感じ。
「俺はもう一度、自分を見つめ直すよ。そして、その時がきたらまたお前と張り合いたい」
あの生意気な口調と態度はどこにいったのやら。まるで純白のパンティーのように心が綺麗だ。
「今までの無礼、償わせて欲しい。何か俺に叶えてほしい事とかあるか?」
男に何かしてもらっても別に嬉しいことは——あっ。
「名前パンティーくんでいい? 紛らわしいから」
「お、おう……それくらいなら」
「これからもよろしくね、パンティーくん」
会話はここで終わり、お互い無言になる。
「そ、それだけか?」
「うん。他に何も思いつかないし」
「おや、クロウとパンディーは随分と仲が良くなったんだな」
そこへセリスが来たが、パンティーくんはセリスの顔を見るなり、顔を青ざめて足早に去ってしまった。
「あ、行ってしまった。話の邪魔をしたかい?」
「そんな事はないと思うけど……。女の子が怖くなったとか、なんてね」
「ただいまー」
3日ぶりの
「にぃに!」
「おっ、と。ユマはやけに甘えてくるなー」
「クロウ様、コーヒーを淹れましょうか?」
「うん、頼むよ。フェルが淹れてくれるコーヒーは美味しいからね」
「ふふっ、ありがとうございます♪」
「パンティーくん、すごく変わってたんだけど、なんかした?」
「ちょっとだけ女の怖さを思い知らせただけよ」
「それ、絶対ちょっとじゃないよね」
会話しながら黒い革製の椅子に座る。
「ギルドリーダー交換会お疲れ様ってことで、みんなでご馳走でも食べに行こっか」
僕の提案にわぁ、と皆盛り上がった。
しかし、他のギルドでチヤホヤされるのも良かったなぁ。移籍するのも……。
…………。
まぁ、今日はゆっくり
『お前ってほんと不細工だよなー』
『てめぇみたいな弱い奴、ムカつくんだよッ』
ふと、昔を思い出した。
あの頃の僕は——いじめられなければそれでいいとか思ってたっけ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます