第50話 水着姿はイケメンと美少女が輝くよね

 僕らは早速ビーチに来ていた。

 ビーチに並ぶ白いいすとテーブル。ビーチチェアにパラソル。


 浜辺の足音はサクサク気持ちいい。


 頭上に浮かんだ真夏の太陽が、じりじりと日差しを注ぐ。雲一つない晴天のもと、運ばれた潮風が肌を心地よく撫でる。

 夏って感じ。

 照りつける太陽のもと、白い砂の上に寝ころんで、なにもかも忘れてぼんやりすごしたらどんなに幸せなことだろう。


 ザァザァという波の音に耳を澄ませながら、僕は無言で立ち尽くしていた——隣を見ながら。


「また少しでかくなっなぁ」


「わたしもだ。こんなに筋肉は増えなくても良いのだが」

 

 自分の肉体を確かめてるガルガとホルス。

 目鼻立ちがはっきりしていて、体もそれに釣り合って固太りのかっちりした肉付き。胴は既にすべてのくびれを失って太い。


「主、上は脱がないんです?」


「僕、腹筋とか割れてない……」


 自分の腹をさする。多少なり筋肉は付いているが2人みたいにバキバキに割れてない。


「いやいや、これは俺たちが獣人だからですよ」


「若も筋肉はある方かと」

 

 僕はうっすら縦線の腹筋があるだけ。

 シックスマッチョにそう言われてもなぁ。


「クロウ様!」


 背後から声が掛けられる。フェルだ。


「遅れて申し訳ございません。水着を着るのに少々手間取ってしまって……」


 フェルの後ろからぞろぞろと来た。


 それぞれビキニに身を包んでいる。


 大胆に露出された白い肌。

 白く透き通った美しい肌が、太陽に照らされ輝く。みずみずしい素肌は、触らずともその抜群のハリと滑らかさが分かる。容姿も相まって綺麗さが増す。


 僕より周りから感嘆の声が上がった。

 彼女たちが一歩踏み出すと、たったそれだけでぶるんっと胸が躍動する。しない人が2名ほどいるが……まぁロリもいいよね。


 この場の男が全てが彼女たちに目を奪われていたに違いない。


「クロくん、ウチの水着どう!」


「クロウさん、私の水着は……」


 真っ先に僕のところに駆け足できたアルマリアと、赤く染め、右手で左の肩を抱くようにして身体のラインを隠しているラフィア。


 女の子の水着姿って褒めろって言われてるから褒めよう。


「うん、よく似合ってるよ」


「ん、マスターアリーたちは?」


「にぃに!」


「アリーとユマも似合ってるよ」


 スレンダーな体型に似合っている。

 そしてユマは何故かスク水。用意した人にそういう趣味がいたのかな?


「ふふっ、皆さん素敵ですね」


「クロウちゃんクロウちゃんお姉ちゃんはどう〜?」


「フェルもロフィアも似合ってるよ。もちろんルルも」


「お世辞ありがと」


 さて全員褒め終わった……ガルガとホルスが何やらチラチラ見てる。君たちの水着、ブーメランパンツと上下セットアップ水着をどう褒めろと。ほぼ筋肉メインじゃないか。


「よし、じゃあ各自海を楽しもう!」


 準備運動をしてから、僕らは海に駆け出した。






「フェル、ロフィア。ちょっと話があるの」


 海に入ろうとしていた2人を呼び止めるルルシーラ。


「どうしましたルル様」


「ルルちゃんもついにお姉ちゃんに甘えたいんだね!」


「いや、違うわロフィア。私は——」


 腰に抱きついてきたロフィアの頭を、やれやれとため息つきながら撫でる。


「いきなりだけど、2人はクロウの事は好き?」


「はい、好きですよ。もちろん1人の男性としても」


「私もクロウちゃんのことが大好き〜」


「そう」


 返事を聞き、やはりと再確認するルルシーラ。2人に関わらず皆、クロウの事が異性として好きだ。ガルガとホルスは崇拝の方だと思うが。


「じゃあ——一緒に抜け駆けしない?」


 ルルシーラの提案にフェルとロフィアが顔を見合わせた。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る