第四章 最強のリゾート地
第48話 働きすぎは良くないと思うんだ。だから休もう!!
——どうしてこうなった?
夜の露天風呂で、僕は湯船に浸かっていた。
隣にはルルシーラ。たぷんとしたおっぱいをお湯にふよふよと浮かせながらいた。タオルは巻いている。
そして弾んだ会話から一変。僕はルルに迫られていた。
「ねぇ、クロウ……」
少しだけ距離をおいて座っていたルルが、僕の方へと身体を寄せ——抱きついてきた。
「ルル?」
「私を捨てないで……っ」
鼻にかかった、切ない声。
こんなタイミングに限ってルルのタオルの結び目が解け、はらりとタオルが湯船に浮かぶ。
すべすべときめ細やかな肌と、ほっそりとした体つき。豊満な乳は露わになる。
身体なんて堪能している暇ではない。
互いに見つめ合い、数秒。
やがてルルの唇が近づき———
状況を整理したところで改めて言おう。
……どうしてこうなった?
異世界にも夏はある。
炎天下の中、依頼を終え思う。
休憩のためにいた屋敷を出ると、後ろから依頼主も見送りでやってきた。
禿げ上がった頭。生活態度が物語っている肥満体。身に纏っているものは流石お金持ちといったところ。全てが一目で高価な物と分かる。
油ぎっしゅな悪役領主っぽいおじさん。手をすりすりし、金歯が光っている。
イメージとしては美少女を食い散らかしていそうだが——
「いやはや、お疲れ様でした、
めっちゃ紳士なんだよね。
常に気遣ってくれたし、お昼ご飯も焼肉だったし。人は見た目で判断しちゃいけないね。
「大丈夫ですよ。こちらこそ丁寧な対応ありがとうございました」
「それは良かったです。リーダー殿、これを」
「ん? なにこれ」
渡されたのは白い封筒。
チップかと思ったが、お金が入ってるという厚みと重みはない。
「
「ではありがたく貰っておきます」
貰えるものは貰っとこう。さすれば良いことあり。日向ぼっこしてたばっちゃまが言ってた。
「〈癒しの地〉オルフェンリゾート?」
封筒の中身は10枚のチケット。それには『〈癒しの地〉オルフェンリゾート招待券』と記載してあった。
「え! オルリゾ!」
アルマが嬉しそうな声を上げ、トコトコと僕の方にやってきた。
「知ってるの?」
「知ってるも何も、オルリゾは超有名な高級リゾート地で中々予約が取れないんだよ!」
「しかもそれはプレミアムチケットですね」
おっ、ラフィアも来た。
「ん、オルリゾ、いきたい」
「にぃに、オルリゾのチケット持ってるの?」
アリーとユマも来た。
「ちなみにこれ売ったりしたらどうなるの?」
丁度、コーヒーを持ってきたフェルに聞く。
「相当値がつくと思いますよ。三ヶ月は遊んで暮らせるくらいには……」
「え、そんなに!?」
それなら売って別のことに使ったほうが……。
チラッと視線をずらすと、みんな行きたそうにキラキラした瞳を向けてくる。
高級リゾート地か、他のことに金を使うか。
悩んだ結果、結論が出たのでバッ、と勢いよく立ち上がる。そして宣言。
「働きすぎは良くないと思うんだ。だから休もう! オルリゾで
「「「「「賛成〜〜!」」」」
うむ、なんかリーダーらしいことをした気がする。満足満足。
「ルルもいいでしょ?」
一応、ルルの許可も取らないとと、話しかけるも反応はなし。聞こえてないのかな?
「ルル?」
「え、あっ……何かしら?」
「みんなでオルフェンリゾートに行こうって話だけど……」
「もちろん良いわよ。休みも大切だしね」
「やった!」
色々準備しないとなぁー。
ルルが一瞬、暗い顔をしていたのは気のせいだろう。
行くぞ、〈癒しの地〉オルフェンリゾート。ビバ、夏休み!!!
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