第6話 陽キャはからかい甲斐がある

 コンコン。


 部屋で寛いでいるとドアをノックする音が聞こえた。


 どうやら僕の付添人が決まったようだ。


「やっほー! クロく———」


 バァン!!


 目の前の人物を見た瞬間、ドアを勢いよく閉める。


 ドンドンドンドンドン!!


「ちょっとクロくん、ウチの顔を見るなり閉めるなんてひどいじゃん! あーけーてーよー!」


「ごめん。衝動的に閉めてしまった」


「なにそれ酷くない!?」


 やっぱりノリがいいね。


 この子はアルマリア。

 ギルドのツッコミ担当兼盛り上げ担当である。元の世界で言ったらカースト上位の陽キャだね。


「どうしてアルマが来たの? もしかしてアルマが付き添い?」


「せいかーい! 流石クロくん⭐︎」


「あっそ」


「なんでウチだけそんなに冷たいの!? ひどいよ~」


 反応が面白いからだね。

 アルマは表情豊かだし、リアクションもいいからついついからかいたくなる。こんなこと本人に言ったら怒るので言わない。


「ほら、早く行くよ」


 僕は後ろでギャーギャー騒いでいるアルマの手を引く。


「あっ……」


 すると、騒がしかったアルマが一変、黙り込んでしまった。しかも何故か顔が赤い。気のせいか?


「早く行かないとルルに怒られちゃうよ。今からダンジョン攻略でしょ?」


 こんなのんびりしている暇はないのだ。

 時刻はとっくにお昼を過ぎている。日が暮れる前にダンジョンを攻略したい。


「あ、うん……そうだけど……」


 歯切れの悪い返答をしてきたアルマそしてもじもじしている。おそらく僕に触られるのが嫌なのだろう。


「分かっているならいいよ。じゃあ手を離すね」


 もう少しからかってみたかったが、これ以上嫌がられたら僕の心が持たないので離しておく。

 やっぱり触れたら不細工って分かるのかな?


「あぅ……手、離れちゃった……。せっかくクロくんと手、握ったのに……」


 しょぼんと残念そうな様子のアルマ。

 僕はそのこと気づかずリビングに戻った。

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