第60話 平和に終わらない。これが異世界。これがテンプレ

 それから数日間も優雅な休暇が続き、島の名所や観光スポットに行き、カメラで写真を撮ったり、ゆっくりとあちこちを巡った。


 そして適度な賭博バトルロイヤル(運動)をして過ごす。うん、健康的。


 さすがにみんながやりたい放題しているおかげで噂が広まり、目を合わすだけで怯えて逃げるという事態にまで。まぁその方が楽だけど。


 普通に休暇を楽しむという、その一点に尽きた。


 日頃の疲れも吹き飛んでしまった。各地を回る。観光地と呼ばれるものは全て。そしてそのうち、オルフェンリゾートでの生活にも慣れてしまった。だけど時を経るうちにバカンスもあっという間で——




「今日が最終日……」


 朝起きて絶望。まるで修学旅行の最終日を思い出す。

 

「おはようクロウ」


 隣を見てさらに絶望。

 ルルが当然のように寝そべっていた。1日目以来、部屋に来なかったから油断してた。

  

 ベッド、朝、隣、美人……朝チュン?


「ままま、まさか僕の童貞——」


「奪って欲しいなら今奪うけど?」


「すいません冗談です」


 最終日は朝から遊びまくろうと思っているので、早く支度をする。といってもTシャツと短パンのラフな格好。


 着替えてる間もルルは部屋を出ようとはしなかった。


「ルル、ご飯食べに行くよ」


「ねぇクロウ」


「ん?」


「このバカンスが終わったらみんなに言うの?」

  

 ギルドを抜けることを差しているのだろう。


「そうだね。ギルド対抗闘技大会もあるし、リーダーの交代のことも考えないといけないし……」


「そう。……まぁリーダー交代なんて必要ないけど」


「後半なんて言った?」


「なんでもないわ。さっ、朝ご飯を食べにいきましょう」


 綺麗な金髪を靡かせ、先をゆくルル。後ろ姿から微かに見えた顔は真顔だった。





 最終日、訪れた場所は——ワースト・デ・ランド


 オフェンリゾート内にある島一つ丸々使い、アトラクションやさまざまな物がある、いわば遊園地のようなもの。人が混み合うのを防ぐため、完全予約制。

 

 腕をかざし、入場門をくぐった後に、連結してある建物に入ると、男女別々の入り口があった。


「なんで男女別なんだろうね?」


 プールじゃあるまいし、分ける必要はないと思うが……。


 案内されるがまま、男女に分かれて建物に入った。



「くっくっ、やっとここに来たか、小僧めっ」

 

 申し訳ない程度の白髪に、肥満体型。ボタンが閉まり切らないのに何故か貴族がよく着るお堅い衣装。


 フェルをナンパしようとしてクロウに邪魔されたバカッテだ。


「おい、ロイ! あれの準備はできてるか」


「はい、いつでも解き放つ用意は」


「クックックッ……このワタシを怒らせた大罪、償うがよい」


 

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