天魔再来

　人は、必ず一度は何かを猛烈に信じる。
――それは天。常に秩序の名のもとに、天を信じない者を絶対悪と断定し裁きを下す集団。
――それは魔。目的のためならば同族であろうと容赦なく切り捨てる合理的至上主義集団。
　生きていく上で、どちらかを信仰しなければならないとしたらどうするだろうか？
　天を茶番だと一蹴し、魔を非人道的だと非難するだろうか。
　だが、それは幼いころから広い視野で物事を見て来たから言えることだろう。
　生まれたときからこの二つしか選択肢がない人間がそのような思考を持ち合わせているわけがない。そのものにとって、二つの内どちらかが正で、どちらかが悪。それだけが共通する常識だ。
　――これは、自分の信じるもののためなら命すら投げ捨てる、信仰という概念に汚染された者たちの物語である。