第5話

「そろそろ休みますか?」

 野菜を首都の市場に卸したあと(まぁまぁな値段で取引されていたので報酬は期待できるだろうとはドーリーの読み)二人を載せた馬車は郊外に向かって走る。

 気軽に遊びに行くのは微妙な距離。かと言って旅行に行くほどではない。そういう意味では「田舎」だ。

「夕方にはつくんだったか?」

「えぇ」

「太陽の位置的には休んでもいいくらいだと思いますが、こんなところで止まっても仕方ないでしょう」

郊外へ向かう道。馬が食う道草もない。

「もう少し行けばちょっとした市場があります。ここではお金出してもらわないとだめなんですが、飯を食べれる店もありますから、休むならそこで休もうかと。もし休まなくていいならこのまま走りますが」

 道中の飯代については了承済み。宿と飯は村の中の話で道中と帰りの飯代は含まれない。

「じゃぁそこで休もうか。馬も休ませたほうがいいし、先に昼を食べておこう。どうだい?」

「いいですね。じゃぁそれで」

「はい、それじゃぁ市場で止まりますね」

そう言って荷馬車は市場に向って走る。


 市場、というのは思ったより大きな施設ではなかった。

 常設の大きな芝居小屋というのが魔法使いが抱いたイメージ。そして芝居小屋より閑散としてしている。

「こういう所、初めてなんですけど、市場ってなに取り扱ってるんですか?」

「食い物だとか馬だとか、あと牛とかな。こういうの見たことないのかい?」

「首都育ちなもので、田舎の方にはあまり言ったことがないんです」

冒険者になってからは遺跡とかそっち系が主。こういう田舎の暮らしに触れたことはないとは本人の弁。

「市場は首都にだってあるだろ?」

「それになんだか活気がありませんね」

「そりゃ市場が立つのは早朝から朝方にかけてだからな。昼前にはみんな終いさ」

 そう言ってドーリーは、市場関係者と御者や行商人向けにあいている庶民向けの飲食店をいくつか確認し

「なに食う?」

「肉と酒はやめましょう。これから長時間乗るからあっさりしたものがいいと思いますよ」

「そういう知識があるといいもんだよな」

 そういって二人で目についた飯屋に入っていった。

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