第60話
「この度は」
「挨拶は結構です。モンスターについて調べに来たと?」
Vがとりあえずの挨拶をしようかとしたら、ドラゴンにさえぎられた。
確かに女の声。きれいな声といっても過大な評価ではないだろう。しかし、語気は強め。警戒心は高い。
「まぁはい。そういうことです」
「礼儀なんて気にしない、という事ならもっとわかりやすくいこう」
二人の会話を聞いていたドーリーは口をはさむ。
「まず俺たちは近くの村で最近増えているというモンスターの駆除を依頼された冒険者だ。第一の目的がモンスターの駆除だから君たち、君たちでいいのか?まぁ、君たちを襲うつもりや攻撃するつもりはない。まずそれを理解してほしい」
警戒心の原因は武器を持った冒険者だからだろう、というドーリーの考え。
「当初は依頼通り狩りを行っていたが、どうにも村に出てくるモンスターの数が異常に多い、ということで俺たちは単純な狩りではなくその原因を抑える方向に作戦を変えた。で一番原因となりえる、というよりも話を聞く限りこんな辺鄙な村じゃそれくらいしか原因がないであろう村から一番近いダンジョンに何か異変が起きたのではないか、と考えた」
大体1週間の出来事も短くまとめてしまえばこれだけのことか、とドーリーの説明を聞きながらVは思った。
そして説明を交代する。
「それで私たち二人で様子を見に来た、というわけです。繰り返しになりますがあなた方、親子を討伐するつもりなどはありませんし、おそらく我々二人では太刀打ちもできないでしょう。そもそもここにドラゴンがいるという事も知りませんでした。」
実際の所どうなのだろうか?とドーリーはふと思ったが、先ほどのドラゴンの子供を見るかぎり、ドラゴンの大人と剣と弓だけでやり合うなど無理な話だろうと自分で勝手に納得した。
「先ほど息子さん、でいいですか?にお話しを聞いたところ、羽をケガしているという事でした。私は回復に関する魔法の心得がありますから、敵意がない印にできる範囲で見てみましょう。どうでしょうか?」
「※※※※」
おそらくドラゴンの独り言。内容はわからないが、唸り声などから悩んでいるだろうとVは思った。
そこに子供の声。
「※※※※!※※」
「※※※※※。わかりました。お願いします」
そう言ってドラゴンは体を低くした。
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