第20話

 村長が思ったほど二人に対しての村人の反応は悪くなかった。

 まず二人の愛想が良い。まぁ多少荒っぽいながらも嫌われないように振る舞う術を知っていて子供の扱いがうまいドーリーと、人相も態度も都会風の優男で丁寧に説明するVが丁寧に話して回るのだ。

 少なくとも村人が知っている冒険者のイメージではない。


 子どもなどがドーリーが仕掛ける罠を興味深そうに見ている前で、罠にかかるとこうなる、というのを近くに落ちていた木の棒で実演するドーリー。

 近所のおっちゃんみたいな愛想の良さで、子供に「こうなると中々外せないんだ。だからお前らは近寄るなよ。引っかかたら俺が弓で撃つからな」などと笑いながら脅しつける悪い大人という感じ。

 その後ろで大人たちにお願いや罠の説明を懇切丁寧に行うV。「普段は家畜がいないところに仕掛けますが、逃げ出したりしたりしたら困ります。ですから管理は気をつけてください。もし間違えてかかった場合もお伝えください。外しに行きますので」云々。

 いかにも強そうな弓と剣をもった強そうな中年の男(Vがもってくるように指示をした。モンスター狩りで住民の信頼を得るにはそれが早いだろうという算段)と、なんかビジュアル的には魔法なんか使いそうな若い優男のコンビ。

 この凸凹感が端的に言えば村人に受けたのだ。


 それに最近のモンスターの被害はひどいものがある。猟師がやめてから増えていたが、最近は特に増え過ぎだ。

 それを討伐するという冒険者。協力しない算段はない。


 そういったわけで、夕方になるまで二人手際よく罠を仕掛け住民への説明をしていった。

 そして夜になると晩飯を酒場で食べ帰宅。

 その後は寝るまで残業だという村長の執務室の端で、部屋の明かりを借りながら二人で罠を作っていく。

 これはVの指導。彼はこういうのも得意。

「冒険者に向いたスキル、ではないよなぁ。これ」

 ドーリーはそう言って

「もう少しさ、冒険者や魔法使いらしいスキルを手に入れた方が良かったんじゃないか?今更遅いけどよ」

と真顔でVに言った。

 Vは苦笑い。

 自分でもそう思っているのだ。

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