第26話
その日は帰って少し早い晩飯を食べて村長の家で風呂に入って寝た。
疲れたし、どうせ明日も朝早いという意見でドーリーとVが一致したからだ。
その予想は当たっていて、次の日の朝も罠にモンスターが掛かっていた。村人いわく馬型のモンスターが二頭いるとの事だったが
「これどっかで飼われてる馬だな。焼印がある」
一頭はモンスター、ただもう一頭は普通の馬だった。認識用の焼印をドーリーが確認。
暴れているのでこのままでは罠を外す以前に近づくのも危険だ。馬の後ろ足に蹴られて死ぬようなことは避けたい。
だから村人も遠目でしか確認できず、モンスターと勘違いしたのだろう。
「じゃぁ眠らせますか?」
「できるのか?」
その言葉に反応する代わりにVは魔法を唱えた。
ちょっと詠唱が長い魔法。そして発動。馬はその場に座り込んで、おとなしくなった。
「早く外してください。長くは効きません」
「おう」
ドーリーは言われた通り手早く罠を外す。
そして首と顔に縄をかけて即席の手綱を作る。他の用途に使うために用意していた縄だが、冒険者にとって下手な武器よりも便利なアイテム。
「できたぞ」
その縄を近くの木にくくりつけて無事解決。
もう一頭のモンスターは弓で処分した。罠にかかり暴れていたので二発外したが、三発目でおとなしくなって、トドメは剣。
「旦那様方。ありがとうございました」
「いえいえ、でも気をつけてくださいね。家畜が居なさそうな所を選んでるとはいえ村中に罠をかけてるので」
馬の方は騒ぎを聞きつけて野次馬の一人が焼印を見て、どこの家の馬か特定して知らせにいった。
その家の奥さん曰く
「昨日夫が酒に酔って帰ってきて、馬をろくに結び付けずに厩舎に仕舞ったら逃げていって困っていたんですよ」
とのこと。
その後ろから着いてきた旦那の顔に目立つ青あざがあるところを見ると
「朝方相当やられたんだな。ありゃ」
というドーリーの言葉の通りだろう
「そりゃまぁ、馬ですからね。結構な価値ですよ」
それでも逃してしまう人間が一定数いて、それが野生化、モンスターとの混血で馬型のモンスターが生まれるという話だ。
馬型のモンスターは結構な大物だったので二人では処分できなかった。そこで野次馬に集まっていた村人に託す。
「あんなバカでかい穴を掘るのも面倒だから、できるだけ解体してあとはここで火葬しちまおうかと、ありゃ食いたくなるようなもんでもありませんし」
「薪を使っていいならそれがいいだろうな。火の始末はしっかりしろよ。火事なんかおこしても俺らはどうにもできんからな」
そういってドーリーとVは次へ。
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