第25話
昼から地図埋めという簡単な仕事をサボってるといわれない程度に、というつもりだったがそうは行かないから世の中大変なもの。
「スライムがうちの近所まで上がってくるんだ。なんとかならんかね」
どこから居場所を聞きつけた他の村人が二人に相談をしに来たのだ。
仕方ないので二人してその村人の家に行く。村外れの沼地に近いので少々蚊が多い。住人曰く「親父が土地代が安いとここを買った」との事。
たしかにスライムがいそうな土地ではあるが、
「そういうスライムは不意に遭遇したとかじゃなければ人や家畜を襲うようなモンスターじゃありませんよ」
村人が見たという色合いのスライムは草食、沼や水辺の水草なんかを食べて暮らす。
それでも水の中に入れば襲ってくるし草を食べれるために陸にあがることはあるが、そんな自らペットを襲うようなことはない。なので小型な種類はペットとして人気があるくらいだ。
ちなみに世の中には肉食系のスライムも居る。こいつのは大きい奴は人を襲うので洒落にならない。足から体全体を包んで、穴という穴から体の中に触手を伸ばし生きたまま内臓を全部吸い取る。
「でも襲われたんだよ。ほら」
そう言って見せたのはペットの犬。
体に浅く大きな切り傷がある。スライムのやり口だ。致命傷にはならないが、傷が目立つのが嫌がられる。
「たしかにそうだな。放し飼いしてたとか、そういうのはないか?」
「家の前につないでるよ。ここまで上がってくるなんて無いと思ってたんだが、上がってきたスライムに喧嘩売って逆にやられちまったみたいだ。馬鹿な犬だよ」
笑ってるような顔の中型犬を撫でながら飼い主はそういった。
愛嬌がある顔だ。とはドーリーの感想。
傷は浅いけど跡が残るだろう、かわいそうに。というのがVの感想。
次に住人が見せたのは家の前の敷石に残っている点々とした跡。スライムは陸では跳ねて移動するからこんな跡になる。
「襲われた後は夜家の中に入れるようにしてるんだが、それでも夜中になると上がってくるんだな。昨日の夜中、音に気づいて外を見てみたらさっきのやつがいたって具合さ。別にちょっかいかけなきゃ人を襲うようなもんじゃないから他の仕事の後回しでもいいんだが、スライムよけのまじないか何かないもんかね」
「そういうのはないですね」
「あいつら金属の音が嫌いだから、フライパンなんかで大きな音を出せば逃げてくが、そういう問題じゃないよなぁ。まあ試しに二三匹獲って追い払ってみるか?」
「スライムってどう取るんです?物理に異様な耐性があるから魔法で焼くのが一般的でしょ?僕できませんよ」
「なに方法はあるよ。でも用意がいるから今日ってわけには行かねぇからな。すこし待ってくれ」
「頼むよほんと」
そして帰る。これもまた村の外れだから微妙に時間がかかる。
道中にいくつか罠を仕掛けたらそれで終わり。こうして完了できないタスクが貯まるのだ。
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