第51話
村長は少し考えて決断。そして条件。
「わかった。ダンジョンの様子見を許そう。でも条件がある。まず第一に村の駆除を優先でやってほしいから、追加で人員を雇うなりなんなりした上での話だ。第二に危険なら何も触らず逃げてくること。繰り返すが死人だけはやめてくれ。葬式はしたくない」
「追加人員、うん」
ドーリーは考える。
否定できない。というよりも極めて妥当。
第一にモンスターの駆除ということで雇われているのだ。そっちを優先してほしい、ほかのことをやるなら追加の人員を雇うから少し待て、というのはきわめて筋が通っている。
第二はドーリーもVも承知のこと。むしろよそ者の俺らまで気をかけなきゃならないんだから、村長というのも大変な商売。権力にはそれなりの責任がある。
だが
「こんな田舎じゃいつになるかわかんねぇぜ。近所の村に猟師とかいねぇのか?」
「近所の村の猟師は近所の村の猟師の仕事があるから近所の村の猟師なんです」
本格的に酔っ払ったVが後ろからちゃちゃを入れる。
「大丈夫か?そいつ?」
「わからん。酒を飲んで人が変わるなんてよく聞くが、1杯でこうなるもんか?」
「酒は弱いやつは弱いからなぁ。しかも本人には自覚がないんだよなぁ。けど言ってることは正しい。その村の猟師はそこで働いてるから、気軽に応援ってわけにはいかねぇからな」
「じゃあ村の腕自慢でも」
「一番の腕自慢が猟師だよ。やめたけどな」
「もうひとりいるでしょ」
Vはそう叫んだ。
「誰だよ?」
呆れたようにドーリーは聞く。
「ただいま。疲れたわ。わがままいってごめ」
ドーリーが知らないうちに玄関から入り、別に本人の家なんだから好きに入れって話だが、養父でありわがままを言っきた相手である親の執務室にまず謝りに来た真面目な少女。
彼女に注がれる二人の目線。なにか押し付けられる感じしかしない雰囲気。
ちなみにもう一人の目線はどこにも向いてなかった。
Vは叫んだ後、椅子にすわったまま眠ったためだ。なんたる傍若無人。酔っぱらいはこういうものだ。
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