第34話

 二人と一緒にい居たスライムが仲間を呼び寄せる声を上げ、それにつられたスライムたちが二人と一匹の周りにあらわれる。

「aaaaaaaaaa」

 透き通っていながら奇妙な声を上げたスライムたちが、自分たちの縄張りに入ってきた怪鳥に飛びかかっていった。

 一匹、二匹、三匹、それ以上はたくさん。

 彼らは草食、なので人間やほかの動物については美味しくないので食べない。襲ってきたりちょっかいをかけてきたら攻撃する程度。

 しかしこの鳥は例外だ。天敵。仲間の仇。親の敵。

 なので機会があれば何があっても殺しにかかる。


 ほんの数秒、滞空していたたくさんのスライムが上と下から飛び掛かり、怪鳥を地面に引きずり落した。

 そしてもっと多いスライムの集団がそれにを囲い


 これ以上は深く描写しないが、のちに村人に聞かれたドーリーが

「あれはやばい」

と村人に表現し、Vはそれを見て疲労とセットで吐いてしまったあたりで察してほしい。



「大丈夫かおい」

 森の騒ぎを聞きつけた沼地の住人は、村長の馬を勝手に借りて様子を見に来た。


 鳥や獣は騒ぐ。スライムの仲間を呼び寄せる声、そして閃光、沼地に入った冒険者。


 そうなりゃもう何かあったことくらい素人の彼にも察せる。命がけを承知の冒険者、とはいえドラゴンと戦ったとかならまだしも自分の「スライムを追い払ってほしい」などというしょうもない頼み事で死んだら後味が悪い。

 ドーリーに教えてもらったスライム除け(フライパン)を腰にさして、子供のころ遊び回った勝手しったる沼地を走りスライムの住処、そして騒がしいほうに向けて馬を走らせると二人の泥だらけの冒険者が倒れている。

 その先には、馬鹿にでかい動物の骨。これは鳥か?でも馬並みにでけぇぞ。


「あんたらがやったのか。というかほんとに大丈夫か?生きてるか?」

「生きてる。どうにか」

「多分。生きてます。でも助けてください」

 二人は息も絶え絶え。とにかく二人を無理に馬に乗せて、自分の家に連れて帰った。

 気づいたら二人の反応がなかったので村人は驚いたが、死んでいるのではなく気絶しているだけだと気づいたのでとりあえず家の中にどろだらけのまま寝かせてたうえで、全力で村長の家に馬を走らせた。





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