第35話
「大きなけがはありませんが、二人とも過労ですね。今日一日、いや明日までは安静に」
「まだオーク狩りがあるんですけど」
「あんな化け物相手にして普通の冒険者なら死んでてもおかしくありませんよ。無傷なんて奇跡だ。この上無理をするなど医者として許せるわけがないでしょう」
布団の上で上半身だけ起こして医者の言い分を聞く二人。ここは沼地の住人の家。
結局二人は沼地の住人の部屋で翌朝まで寝込んでいた。
その間、住人は村長を呼び寄せ、村長は手すきのものを集めて住人の家に行き、眠ってる二人の着替えや森の様子の見るなどといった大騒ぎ。
怪鳥の一匹は骨、もう一匹は胴体に剣がつき刺さっているとなればまぁ、何かあったとは田舎者でも気づく。
ちなみに腹に剣が刺さっている一匹は元猟師が村長の命令で駆り出され、嫁さんの手を借りながら解体して肉にして村の人間に配ったのだそうだ。
馬並みにでかいのだ。矢と剣が刺さってるとはいえ食うところは沢山あっただろう。
「肉は都合が合わなくて無理だったが、羽については御者が首都に行くから、そのついでに売ってくるように言っておいたよ。あんたらみたいな商売だと現物より現金でもらったほうがいいだろ」
起きた二人はまず近所の村から呼ばれた医者の見せられた。その隣で事情を説明しながら、モンスターの肉を甘辛いたれにつけて焼いたものを元猟師は渡す。
美味しいがさっきまで過労で寝込んでいた人間に食わせるものじゃない。田舎の人間は気が聞かない。二人は少しかじる程度。
ちなみに御者とは二人を運んできた男の事。馬車の扱いがうまく首都と村を往復して商売や雑用、あと送迎などを請け負うので村の人間から御者などと呼ばれてるとこのこと。
「肉については乾燥させるなりしてあんたらに持たせても良かったが、どう加工するにも手間がかかるからな。あんたらにはもっと保存がきくものを代わりに渡すか報酬に足し前をするかするように幹部連中にいっておいた。あと一応骨も残ってる。何に使えるかわからないが、いるか?」
「首都で売るにも面倒が多いだけです。粉にして畑にまけば肥料になりますからそっちでどうぞ」
Vはそう言って肉をもう一切れどうにか食べた。
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