第29話
釣れた(二人で引っ張り上げた)スライムはまぁまぁな大きさだった。
具体的にはVが両手で担いで持てる程度。大物だと人並みに大きいものもいるが、これでもまぁ大きいほう。
そしてドーリーはスライムの口がふさがってる内に紐で縛りあげる。体がやわらかいスライムと言っても何十も締めあげればさすがに動かない。
「で、どんどん釣るですか?」
「いや、一匹でいいさ。こいつらとりあえず奥のほうに引っ越しさせておけばいいだろう」
そういってドーリーはVが担いでいるスライムをグーで殴った。
「スライムって群れの仲間を呼ぶんでしたね。そういえば」
「そう」
Vがスライムを担ぎ前を行き、ドーリーが後ろにつき棒きれを振り回しながら足元が悪い沼地を奥に進んでいった。
その後ろには大小さまざまなスライムの大群。びちょびちょうるさい。
速度的には対して早くないので追い付かれることはないし、先に出ようとするのはドーリーが棒でたたいて追い払っている。逆に言えば、相当な妙技でもなければ棒で叩こうが剣で切りつけようが追い払うことくらいしかできない。柔らかいので。
もし襲われても、正直不意を突かれでもしなければ問題ない。柔らかいので物理的な攻撃は浅い傷しか残せないのだ。ただ傷が広く目立つので嫌がられる。
また魔法に対しての耐性はまったくない。なので普通は魔法で焼き払う。
「ずいぶんと荒っぽいが、まぁ当分はこれでいいだろう」
「へぇ」
びちょびちょうるさいのだ。なので相手の声が聞き取りにくくあいまいな返事。
二人が意図していることは
このままスライム達を沼の奥まで連れて行こう、そしたら餌もあるだろうし当分は村のほうに出てこないだろう。
という安易極まりない作戦なので深く説明しても仕方ない。ポイントは
「伏せて」
Vの叫び声だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます