第30話

 Vは自分で叫ぶのと同時に担いでいたスライムをクッションに泥の中に倒れこむ。口に泥とスライムが入った。気持ちがいいものではないが毒ではない。と思いたい。

 ドーリーはなにも理解していなかったが、とりあえず伏せた。こういうことについては勘が働く。だから20年もやってこれた。

 後ろのスライム達はさっさと元の道を戻っていく。その中の一匹が、大きな爪に刺された。

 大型の鳥型のモンスター。ドーリーは羽を広げたら朝方相手した馬と同じ程度、Vはそれ以上の大きさと判断。

 それが二匹。スライムを一匹ずつ鋭い趾で突き刺し、突き刺したまま空高くに飛びあがった。

「なんだあれ」

 伏せたままゆっくりとVの近くまで這っていったドーリーがそう静かに声をかける。

「あんなのダンジョンにでも行かなきゃ居ませんよ。村の近くに飛んでていいものじゃない」

「オーク含めてとんでもない奴がいやがる。仕事を間違えたな」

 そういってドーリーは寝っ転がったまま弓と矢を手にする。

 頭から足まで泥だらけの二人。それが保護色となって空高くを飛ぶ鳥から姿を隠す。

「一匹なら逃げれるだろうが、二匹じゃ無理だ。戦うぞ」

 Vはここを逃げるか二匹をとる作戦のための数秒の思考、そして「解なし」の回答がでたので。

「作戦を立てましょう」

と一言


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