第8話
引き続き馬車の荷台。
食後の満腹感と昼の暖かな陽気で二人共うたた寝をしている。御者の男もそれを見てとり、なるべく揺らさないように気をつけて走る。そしてその振動がまた心地よい。
そのまま馬車は本題の田舎へとひた走るわけだが、道中なにかあったというわけでもない。
万事平和。太平の世と言うやつ。
「起きてください」
ではなかった。
「どうした」
「人がモンスターに襲われているようで」
その一言で飛び起きたドーリーは弓と矢を構える。
たしかに進む道沿いに獣型のモンスターが三匹。遠くて小さいので確認しづらいが道に倒れた人を食い荒らしてるように見える。
それを確認したドーリーは一息おき
「大丈夫か!!」
と大声で怒鳴りつけた。
安否の確認と同時に獣を追い払うつもりだったが、どちらも効果なし。むしろ餌の最中に邪魔をされたモンスターがこちらに気づいてしまった。
効果といえばVを起こした事だけ。
「な、なんですか」
「獣だよ。捕まってろ。おい御者、止めろ」
「へい」
そう言って御者は馬を器用にあつかいその場で馬車を止める。
衝撃、Vと農機具が床に転がる音。
そして御者は運転台に伏せて邪魔にならないように小さく丸まってる。
荷台から打ち下ろしの姿になるドーリーと獣型のモンスターが三匹。
「三」
距離はどの程度か、それを読むことは御者もVもできない
風速は。弓の飛距離。そんなのも知らない。
しかしドーリーは知っている
「二」
こちらに向って走ってくるモンスターの額を撃ち抜く。一発
それに気づかずまだ向かうモンスターの首を射抜く。二発
三匹目は気づき茂みに向って逃げていく。それをみたドーリーは動かず。
結果としては二匹のモンスター討伐。一匹は逃した。
「大丈夫でしたか」
「多分な。それより倒れてるやつのところに」
「そうですね」
そう言って業者は馬車を急がせる。
Vはまた床に転がった。
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