第82話

翌日

「ご迷惑おかけしました」

 ドラゴンは村人たちにそう言った。

 騎士団、冒険者の一行はドラゴンを連れて先に首都に帰ることになった、

 ドラゴンの正当防衛として片付けるにしても、ドラゴン族との協定で調書は必要。また大丈夫だろうが、ドラゴン治療の専門家に一応見せておいたほうがよいという次第。

 本人(本龍?)としても、自分でやったことなのでこれは仕方ないと理解している。

「いや、こちらこそ、あんな連中から村を守ってくれたんだ。建物の被害もそこまでないしな。ありがとう」

 見送りという事で村長以下数名の幹部がドラゴンの挨拶を受ける。

 建物については戸板が外れた、家の前のレンガが割れたなどの被害はあるがどれも大きな被害ではない。それに騎士団団長が

「君らがその気なら陛下からの見舞いとして資材を頂戴できるように申し込んであげよう」

といってくれたので、その好意に甘えるという事になっている。

 ただ修理は自分たちでやる。今も応急処置や後片付けの為に、村長の娘の指揮元村人たちが働いているだろう。


「お二人にもお世話になりました」

「いいよ」

「あなたはこれからが大変なんです。よく話し合ってください」

 そして見送りに来ていた冒険者二名とそんな会話

「それでは、もうお会いすることはないかとおもいますが」

「バイバイ」

 そう言ってドラゴンの親子は首都に向かって飛んで行った。その下を走る騎士、冒険者の団体。



「すまないが二人さんも、ここで仕事の終わりってことでいいかな」

 場所は変わって村長の執務室

 見送り後、そのまま幹部と村長、冒険者はここに移動。

「もうモンスターがどうだって話をやってる暇がないんだよ。新米だが猟師も一人できたしな。契約期日はまだ数日だか残ってるが、そこはこっちの都合という事で満額払う。そして追加として多いとは言えないがボーナスも払わせてもらう。あの化け物みたいな鳥の羽を売った代金も合わせると」

 村長は数字をあげる。安いとけなすほどではないが自慢できるほど高くもない。

「肉の分は?」

 怪鳥の肉は村人で分け合ったのだ。

「あんまりけち臭いこというなよ」

 Vの言葉にドーリーはさすがに横から口をはさむ。


「まぁでも報酬をまけたと思われてもやだしな、酒か食いものでも土産に持たせてくれ。報酬はそれで手打ちでどうだ。それとV、こんな大事になるってここの人間も俺たちも思ってなかったからあの契約だったんだ。今から細かいこと言って取れもしない請求しても面倒になるだけだし、くれるってもんだけしっかりと取って帰ろうぜ」

「良いだろう」

「わかりました」

 そして経費がどうこうという話と帰りの都合。経費については冒険者の負担、帰りは今日夕方から御者が首都に行くので、それに同乗するか、別途足代を支給。

 二人は特に村に思い入れはないし、いても仕事を手伝えといわれるだけだろうという事で今日の馬車に乗ることにした。

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