第81話
「それならもっとシンプルに報告したらいい。1密猟を行おうとした連中がドラゴンに返り討ちにされた2そこに偶然いた冒険者二名はドラゴンに協力した3その結果我々が介入する前に盗賊団が討伐された次第であり我々はけが人の収容と云々」
「人が死んでるんだぞ。あんな連中でもな」
「だからドラゴンをメインに据える。密猟者が襲おうとしたドラゴンに反撃されて死んだのは事実だろ。冒険者二名が投降を呼びかけてもそれでも向かっていったのも事実だ。つまりドラゴン側の正当防衛。これで盗賊の死亡については解決ってことにしておけばいい。ドラゴンなんて上司も面倒だから扱いたくない。むしろ騎士団を悩ませた盗賊団を討伐した、勲章を親愛なる隣人のドラゴン殿に、なんて話でもしておけよ」
ドーリーが言ってるのは政治的な解決策。戦争は大体が政治的な問題である以上、傭兵団が生き残るのは腕力と共に政治力が必要なのだ。そこで20年もうろうろしてればこういった答え位すぐに出せる。
彼の失点は傭兵団内での政治にあまり興味がなく、首切りリストに載ってしまったことだけだ。
「なるほど。そうする事であんたら二人も責任逃れしようってことか」
「そこはご想像に、ただ俺らは殺しちゃいないぜ」
このストーリーなら、二人に対する詳細な検証を避けられる利点もある。傷の具合などを検証すればドーリーとVが実際は何を行ったか、それが適法かどうかわかるだろうが、それは恐ろしく膨大な時間と手間と負担がかかる。
たかだか盗賊団が死んだからとそんなことをするつもりはない。それは付き合わされる冒険者の利点でもあり、予算を気にする騎士団の利点でもある。
そこで帝国の法が通じるか微妙な上に、明確に正当防衛といえるドラゴンを主人公にしてその部分を有耶無耶にしてしまう作戦。
つまり三者、団長、騎士団、冒険者の二人にとってメリットがあるわけだ。
騎士団長は数秒悩み、まぁ最初から答えは決まっていたが
「まぁ、そういう方向性で善処しよう。お互いのためにな。仮に問題になっても冒険者なら組合に投げればいいしな」
要約するとYES。
「皇帝陛下と帝国の利益と名誉のために」
ドリーはお約束のフレーズで答えた。
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