第80話
「そういうわけで、まぁ今に至るわけです」
「わかった。けどそれを僕は首都の椅子に座っている上司に報告しなければならないんだ。上司がその話を分かると思うかね?」
「礼儀もわきまえず正直な感想でよろしければ、思わないね。馬鹿じゃねぇの言われておしまいだろう。おれだったらそう答える」
ドーリーは一通り今までのあらすじを団長に説明した。
つまり
追い出され系冒険者と首になった系傭兵が偶然出会って、まぁいい仕事ないしつなぎにちょいっと田舎で仕事しまいか、と片田舎にきて害獣駆除してたらオークとかでてきて、こりゃなんかあるとダンジョンに行くとそこにはとっくの昔にほろんだ貴族を頼って首都まで飛んでくる途中に密猟者に狙われたスキャンダルで追放された系シングルマザーの子連れドラゴンがいたので
「帰んなよ」
「はい」
という話をしていったん村に下りようとしたらそこに都合悪く密猟者の一群が居てドラゴンが怒り、それを止めるすべなどないので戦闘になり今に至る。
という話だ。
「まぁ、村長などからいろんな説明を聞いてるし、ドラゴンは一度狙うと死ぬか降参するまで追ってくるっていうし、ドラゴン本人の口からも話を聞けば裏付けできるだろうが、それをね、報告しないといけないんだよ。報告。どうしろっていうんだ」
「こういっちゃなんですが、こちらの質問に答えてもらえれば一つ入れ知恵できるかと」
「なんだ?いってみろ」
相手は貴族だから礼儀正しくしなければならない。
これは首都の常識。
最前線で切り合い刺し合いをする傭兵や冒険者の常識は「貴族と話すなら利益を提示すること」「信頼を得るために自分の利益を求めること」の二つだ。
前線で働く団長のような貴族はそれをわかってるから気になどしない。むしろ椅子でふんぞり返ってる上司より話しやすい。
「まず旦那方、どういう目的で来たんですか」
「盗賊団の捕縛、抵抗が激しい場合は討伐。ということになってるな。盗賊団といっても柄が悪い連中で、盗みをはじめとして強盗、殺人、密猟、違法物の売買まで幅広くやる。首都やその周辺で悪さしてたそいつらの下っ端を確保したらドラゴンの密猟に手を出してるとかで、前に取り逃したやつがここに居るという情報を得たのでこちらに向かった、という事を吐いた。だから急ぎここに来たんだ。村を襲うことに罪悪感などない奴らだからな」
Vはドラゴンを見ている人が居なくてもおかしくない、という旨のことを言っていたが、不時着したドラゴンを誰かが見ていたのだ。
「あと連中の何人かは冒険者の資格を得て冒険者業組合に参加していることもわかってたから、組合を通して冒険者にも参加してもらった。トラブルはごめんだ」
「なるほど」
密猟者の一団は首都で下っ端が捕まったことで自分たちに手が回ると、危機感を持ったのだろう。
逃亡資金、せめてそれに代わるものがいる。そこに丁度来た取り損ねたドラゴンの続報。逃亡資金には十分だ。場合によっては村を襲ってもいい。
だから首都からの離脱もかねて大人数で押しかけてきた形。というのが、後からドーリーに話を聞いたVの読み。
リーダー格が言ってた今更後には引けないといはそういうことかとはドーリー。
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