第23話

 ドーリーは引き続き罠を仕掛けて回る予定だったがこちらはこちらで予定外のできごとが起きて計画変更。

 

 Vと別れたあと、まず昨日仕掛けた他の罠のチェック、と思って歩いていたら

「あんた雇うって言ってた冒険者だよな?この昼間から家の周りにコウモリ型のモンスターの大群が飛び回ってるんだ。助けてくれ」

という村人からの相談。

 そこでその家に向かい、肩に担いでいた弓を器用に扱い5匹ほど撃ち落としてコウモリ型のモンスターの大群を追い払う

「家の軒先にでも吊るしておけば近寄らないよ」

 ドーリーが持ってるのはコウモリ型のモンスターの死骸。

「やだなぁ。でもありがとう。あいつら普通洞窟とか山の中に居るものだが、最近は昼間から村の方にも来るんだ。山の中に食い物が無いのかねぇ」

 そんな話を村人として分かれる。


 そして帰る道中に道から外れ畑に落ち込んだ馬車とそれを戻そうと格闘する商人を発見する。曰く「いきなり飛び出てきた馬型のモンスターに驚いて馬が暴れて落ちてしまった」との事。

「モンスターはどうした?」

「こいつを吹いて追い払いました」

 商人が見せたのは魔法がかかった獣よけのラッパ。大物や気がたったモンスターは無理だが、ふいに遭遇した程度ならこれで追い払える。

 世間一般の人の感覚ではちょっとお高くないと言われる程度の値段はするが、地方などを回る商人は商売柄一つ持っておけば何かと役に立つ。こんな事態が起きたときとか。

「森の方に逃げていきましたよ」

「ならまぁ追いかけてもしかたねぇな。こいつは俺一人手伝った程度じゃ無理だから助けを呼んでくるよ」

 そう言ってドーリーは先程の住人の家までもどり事情を説明、そしてドーリーと村人、その家族に商人総出で土だらけになりながら馬車を引っ張り上げる。

「ありがとうございます」

「良いってことよ。お互い様さ」

 商人は感謝の言葉だけじゃ、と言って売り物の一つである首都の菓子を二箱ほど家族に渡して村の温泉に向っていった。

 ドーリーもついでにということで乗せていってもらう。


「あんたここいらによく来るのかい?見たところ首都の品がメインみたいだけど、ここじゃ首都から近くてそこまで高く売れないだろ」

「えぇ商売としてはあまり儲からないんですが、うるさい観光客も居ないし温泉もあるし馬車を止める場所もあって休むにはいい場所ですからね。行商の帰りにちょっと寄って、休みがてらに割り引いて在庫処分の商売をする感じでやってます。そんな感じですが、まぁありがたい事に皆様に愛されてますよ」

「なるほどね。たしかにあんたみたいな人間がちょっと休むにはいい場所だ。さっきみたいなことは前にもあったか?」

「よそじゃたまにありますけど、この界隈ではないですね。村人たちも最近妙に増えたって訝しんでましたよ」

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