第67話

「古いな」

 ドーリーが砦の周りをみて回っても、それ以上の感想はなかった。

 昨日の夜にも見たが、中央の建物以外は、朽ちた柱が残ってるか、柱が立っていた場所が残っているか、それとも後数か月か数年かで朽ちた柱になるか、の違いでしかない。

 建物らしきものが残っていても中には入れない。倒壊して下敷きになってはこまる。

 やはり残ってるのは中央の建物くらいだけのようだ。

「オークの足跡とか、鳥の羽みたいなやつはあるけどモンスターはいませんね」

 Vの見方はVドーリーとは少し違う。

 確かにモンスターが居た形跡はあるが、もういない。

「みんな、どこかに行った。おかぁさん。きたから」

二人の行動を見ていた子供のドラゴンの言葉。

 その一言で二人は村にモンスターが増えた原因を察した。


 もともと猟師が狩猟をやめて獣やモンスターが増えていた村の周辺。

 そこに出てきたろくでもない男に引っかかって群れから追放された女ドラゴン。

 首都の近くで密猟者かなにかに襲われダンジョンに不時着。

 ダンジョンにいたモンスターたちは大きな争いを起こすこともなく、モンスターの神に場所を明け渡す。

 その結果、ダンジョン崩壊。

 それに加えて子供とは言えドラゴンが、親子の食料を取るためにダンジョンの周りを飛び回って獣なんかをとっていたのだ。

 そうなればモンスターも獣も大移動する。それが結果として村のほうまでモンスター逃げてくることになった。

 それを村人から見たら「猟師が辞めたころから増えてはいたが、最近はモンスターが妙に多い」という事になる。



「Vの考えが概ね正しかったな。ダンジョンが崩壊した結果、回りまわってモンスターが村まで来たんだ。ただどっかの素人集団じゃなくて、不時着した怪物の神が一匹でやったわけだが。しかしドラゴンが飛んでたら誰か見てそうなもんだがな」

「ろくでなし男にひっかかたドラゴンがいるんですよ?誰も見てないなんて些細な偶然で済ませましょうよ」

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