第42話
今日もその匂いがうっすらと漂ってくるが、一つだけ昨日と違うことがある。
鹿だ。鹿の死体。血生臭く獣くさいというオークがだいすきな匂い。
それが柵の手前に目立つように置かれている。
どこをどう見たって罠だ。人間だったらすぐにそう思う。仕掛けてる当人ですら流石にこれはばれるだろうと思った位。
「ゴブリンならかからねぇだろうがオークならこんなもんでいいよ」
「むしろ妙な仕掛け作ると気づかないからな」
しかし村の有識者二名の助言によりこのざっくりとした配置になった。
「GGGGG」
その鹿を見て数秒間オークは考えたが、周りを見渡して人の気配が無いこと確認し
「GGGGG」
その鹿を持ち帰ることにした。彼らは肉を好んで食べる。畑の野菜などよりおいしいごちそうを持って帰らない理由はない。
罠かどうか?そんなもの気にする脳みそがオークにあるわけ無い。
短い腕で鹿を持ち上げようとするが見た目に反して重い。
なぜか?鹿の腸に詰められた石が原因。
頑張って持ち上げた死体の下に隠れていたピカピカ光る石。
次にオークが聞いたのは風切り音、爆音、閃光。
最後に衝撃。もしかすると順番は違ったかもしれないがここでは些細なことだ。
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