第78話
「わがまま言って申し訳ありません。しかし痛いんです。彼らの治療」
村の外で騎士団と冒険者が協力して簡単なテントを張っており、その中で休んでいるドラゴンはそう言った。
子供のドラゴンは隣で寝ている。彼は彼で疲れたのだろう。
「私は本職じゃありませんからね。多少痛くても我慢してくださいよ」
そう言ってVは治療を始めた。
といっても、そこまで大きなけがはない。体には矢があたり欠けた鱗。運よくその下まで矢が通ったとしても、その肉は鉄のように固いので大きな傷にはならない。
その傷に対してちょっとした魔法をかけつつ
「ドラゴンの鱗、っていうのは生え変わる、生え変わる?ものですか?かけたやつは全部取り除いたほうがいい?残したほうがいい?」
「時間がかかりますがはがれれば順次再生します」
「じゃぁ欠損が目立つものは取り除きましょうか」
そんな話をしながら治療をしていく。
無計画で手負いとは言えドラゴン。密猟者15人程度なら軽くいなせる。
二人が下りていく際に発した「君に命令はできない。止める気もない。しかし極力殺さないこと。投降したものは襲わないこと」という指示で手加減はしたが、そうでなければ死体が15人分並ぶことになっただろう。
「これはすごいなぁ。矢が刺さりもしない。しびれや痛みなどはありますか」
「特にないです」
「そうですか。あぁ、すいません。回収した武器類に毒矢の類は」
「ありませんでしたが毒の方は用意されていました」
「種類は」
毒の種類を上げる騎士団員。1種類だけ。団員も特性などはよく知らないが、補助職の面々が特定したので名前だけはわかる
「うーん。そういう症状はないかな。急襲だから使う暇がなかったか。じゃぁ羽の方を見ましょう」
名前を挙げただけでわかるとはすごいなぁ。とはついていた団員の思い。新人なのだ。冒険者に偏見はない。
「あ、下から持ち上げますので」
「いいですか」
体によじ登ろうとしたVを見て団員はそれを支えるように動く。
「気を付けてください」
「ありがとうございます。そうだ。今から名前を、いや、やっぱりメモをします。この薬を用意してもらえませんか」
ドラゴンの背中から聞こえる声。そして丸まった紙切れが飛んでくる。
団員は受け取り中を確認。聞いたことある薬もあれば、聞いたことない薬もある。
「在庫の方があるかがわかりませんのですべて用意できるかはわかりませが、補助職の方に問い合わせてみます」
「よろしくお願いします」
そう言って部屋からでていく足音。
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