第77話
団長についてきた一群。
その中でも騎士団に所属し魔法や回復などの知識がある補助職、そして冒険者のなかでも回復魔法ができる人間たちが治療に参加した。
残りの人間は生きている人間を捕縛しもっとまともな治療を受けられる場所に連れていく。
彼らも最終的には首縄の奇術になるかもしれないが、その前に今までの悪行をできる限り吐いてもらう必要がある。それに裁判にかけず死なれると困る。
これはここを統括する第6騎士団団長の考えであり、バカでかい領土を法と政治で管理する帝国の基本でもある。
残った者たちには事情聴取。
「君たちは村に雇われた冒険者で害獣の駆除を依頼された。ただ数があまりにも多いからこれは自然発生だけではなく何か別の原因があるんじゃないかと判断し、近くのダンジョンに向かった。ここまでは事情を聴いた。それ以降、というよりあのドラゴンはなんだ」
「微妙に違うんですよね。うん、説明しにくいな」
夕方。臨時に酒場を接収し作られた騎士、冒険者連合団の本部。
そこで行われる首都では割と偉い方に入る騎士団長の質問攻めにVは説明に困っていた。
そこに現れた騎士団の一人。
「団長、失礼します。ドラゴンなのですが、我々の治療を拒んでいまして」
「そりゃ困るよ。僕が説明に行くべきか?」
「いえ、ヴィリア氏にお願いしたいと。その旨を申しております」
「はぁ。君、できるかい?」
「まぁ頑張りますが、騎士団の方に手伝ってもらえますか」
「当然だ。君。そういう事だから、補助職の面々に命令を、彼を支援すること、よいか」
「了解です。それではこちらにどうぞ」
冒険者が気難しいドラゴンの治療などできない、というのが騎士団長の考え。しかし名目上の治療者が彼ならドラゴンは納得するだろうし、彼に助言という形なりでうちの補助職の面々が動くだろう。でも補助職はインテリが多いせいか現場働きや冒険者を下に見る。特に魔法使いのトップは貴族を鼻にかけて扱いにくいから面倒を起こさなければいいが。
「いいかな。俺が代わりに説明しようと思うが、いろいろ面倒だから最初から話そうか。長くなるかもしれない」
「あぁ、すまない。いいよ。覚悟はしている」
しかし変わったパーティーだ。ドーリーとかいう傭兵上がりと若者の組み合わせ。こういうパーティーはほかでは見ない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます