第18話
村をあるき回り、地図にあれこれ書き足していくと太陽が真上に登っていた。
農作業をしていた農民は日陰で弁当を広げ始めている。
二人は弁当の用意がないので村の酒場に集合。
この酒場は昼の営業と夜の営業がある。
ただし昼の営業はとても短い。そもそも観光地でもないこの地域で、食堂に飯を食いに来る客などたまにやってくる商人や御者、あと旅のついでに休憩する旅行者に税金を取り立てに来る役人程度。
この辺の人間は昼は大概弁当か家で食べる。友人と茶を飲むにしても家だ。なので無駄に長くやっても金がかかるだけというわけ。
「だから来るなら早く来てくださいね」
酒場の女主人に笑顔でそう言われて。二人はにこやかにわかったと返した。
食事は手がかからない田舎料理。特別美味いわけじゃないがまぁこんなものだろうという味。
「まぁ調べようとは思ったが」
食後の茶などを飲みながらドーリーは呆れたように言った。
二人で手分けして半日で村の半分は回ったのだから良く働いたものだと、自分でも思ったが
「いくらなんでも被害が酷すぎやしないか」
二人が書き足した地図をみてドーリーはそういった感想を漏らす。
「そうですね。ちょっと多すぎますよ。これ」
Vも同じ感想。
Vの方が字がきれいで読みやすい、ということでドーリーのメモも書き加えた今日の成果であるVの地図は、文字が多くて読みにくかった。
Vが悪いわけではない。それだけ被害の数が多いということ。
「数が多いだけじゃない。普通害獣被害なんてのは鹿とイノシシ、モンスターにしたって数種類位です。ここじゃ西でゴブリンがでれば東で鹿とイノシシが畑を襲い、南で馬型と獣型のモンスターが喧嘩したら北ではスライムとコウモリ型がペットを襲うって状態ですよ。種類にまとまりがない」
「まるで包囲されてるようだな」
ドーリーの言葉。言われてみればたしかにそう。全方位からいろいろなモンスターがこの村に来ている。
「こりゃ明日からだ、なんて事言ってる暇はないな。下調べは切り上げて昼からは罠を仕掛けて回ろう。住民の協力も欲しいな。村長にも迷惑をかけるか」
「まぁ報酬が安いんです。少しくらいは自前でやってもらいましょう」
そう言って二人は立ち上がった。
ありがとうございました。とは店主。
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