第71話

「村人たちになるべく外出を控えるように言って回りなさい」

昼になろうかという時間、村の幹部などが集まり諸々の計画を立てている所に酒場の女主人が飛び込んできた。

 曰く

「恐ろしく柄が悪い自称冒険者の一行が酒場にたむろしている。山賊の類じゃないかと思う位柄が悪い」

という事。

 それを聞いた村長はまず部屋にいた幹部数人と自分の娘にそう伝えた。

 山賊の類じゃないかと思うという女主人の表現は十分警戒すべきことだ。治安がいいといってもその手の話はちらほら聞く。それにここ最近はろくでもない連中が村によくくる。モンスターも山賊も大して変わりはない。


「村長にお会いしたい、ということらしいんですが」

「こちらから行こう。怒らせないように適当に接待しておいてくれ」

「わかりました」

 そう言って女主人とその旦那は酒場に急いで帰る。

「募集を見てきたんでしょうか?」

 村人などが居るので多少かしこまった言葉で娘は聞いた。

「募集は取り下げたはずだし、募集に応募したならまずこちらに早馬が来るはずだ。旅行なら私を呼ばないだろうから、まぁ、ろくでもないことだろうな」

 そう言って一応の正装。といっても外行きの上着を着るだけ。

「村長さん。あんた一人じゃあれだし、俺もついていこう。小間使いとかなんとかいえばよそ者にはわからんだろう」

 娘と一緒に猟の予定を組み立てていた元猟師はそう言って立ち上がった。

「私も」

「だめだ。これは村長の仕事だからな。それにお前は村人についていなさい」

そう言って二人は部屋から出ていき

「お嬢。村人の方に話を回しましょう。どうせ畑で弁当か家ですんで、家の方はお嬢で率いてくれやせんか。畑の方は私が率いますんで。一人で回らせちゃいけませんぜ」

村の幹部の一人にそう促されて娘も覚悟を決めて、ほかの面々をつれて出て行った。


 妙に物々しい雰囲気、だが柄が悪い冒険者というのは本来こういう扱い。

 暴力的な何でも屋、そういう連中が呼ばれもしないところにに押し掛けるのはろくでもないというのは冒険者に限った話ではない。

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