【最終章】

はじまり



 川口彩美は、自身の経験などを元に「カラフリー」という作品を書いた。作品は三部作編成で、本編よりも前日譚の方が話が長いなど、普通は見かけないような形式になっていたりする。


 本人は、とにかくただひたすらに、思いつくままに文字を連ねていったと述べている。


 決まり切った形式にこだわらず、そのときに自分が書きたいと思ったこと、伝えたかったことを、好きなように自由に書いたというわけだ。



 そんな「カラフリー」もいよいよ終わりのときが来た。


 物語である以上、必ず「最後」というものがなくてはならないからだ。


 しかし、彩美はその概念すらも覆すようなことを述べている。



“物語の終わりは物語のはじまりです” と。



 つまり、彼女が読者にこの物語のヒントを示すのはここまで。ここから先は、これを読んでいるあなた自身が物語を書き進めていく。それが、川口彩美の考えだ。



 小説を書いたことがある人でもない人でも、そもそも本なんて嫌いだという人でも、誰でもいい。


 誰もがこの世界では作家になれる。自由になれる。


 それが、川口彩美が学んだこと。そして、これからも彼女はそれを大事にしていくだろう。



 あまりここで引き止めるわけにもいかない。



 さあ、ここからは読者の自由。好きなだけ、物語を書き進めてほしい。








 その先に、たくさんの色を見つけられますように。

















『カラフリー』 : 完


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カラフリー 金木星花 @kaneki-hoshika

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ