『ご縁があったら、またいつか』❽


 後悔する前に、あなたに伝えます。


 本当は絵にしたかったんだけど、時間的にも私の体力的にもそれは厳しいから、文字で伝えるね。


 私の本当の思いを伝えたいから、難しい言葉も、長ったらしい文章もここには必要ありません。


 短い言葉の中に、たくさんの思いと、願いと、希望を込めます。



 タク。


 あなたに会えたことは、私にとっての最高の宝物だよ。あなたに会っていなければ、私は生きることに執着することも、足掻くこともなく、意味もなく死んでいたかもしれない。


 けれど、今はこんなにも生きたいと願っているし、例え苦しくても命があることが幸せなことだと心の底から思えます。


 こんなふうに、私を変えてくれたタクのことが、私は好きだよ。






『君のことが好き、これからもきっと』






 そして手紙を封筒に入れてから、ふと、ある考えが頭に思い浮かんだ。



「もう一度、タクに会いに行けばいいんだ」


 そう。単純なことだ。


 別れてしまっても、また私から会いに行けばいい。例え、それが何十年、何百年、何千年経ったとしても。



 忘れないで、会いに行けば、それでいいじゃないか。



 ただ、タクにはやっぱり幸せに長生きしてほしいから、「お互いの都合が合えば再会しよう」くらいの軽さで願おうじゃないか。



 私は、温かく穏やかな気持ちで、封筒の裏側に結びの言葉を記した。






『ご縁があったら、またいつか』















 番外編「ご縁があったら、またいつか」 : 終








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