『ご縁があったら、またいつか』❼


 気がつくと、そこは病院の救急治療室だった。


「花乃!」


 目が覚めた私に気づいて、両親が抱きついてきた。


「よかった、よかった……」

 両親が目に涙を浮かべながら、安堵の声を漏らした。


 しかし、その様子は全く私の脳内には入らず、ただただ自分の置かれた状況に恐怖を感じていた。


 ……私、死ぬ寸前だったんだ。


 背筋に悪寒が走る。もし、助けが一秒でも遅れていたら、私はもう消えて無くなっていたかもしれない。


「わ、私……死ぬの?」

 震える声でなんとか聞くと、両親は「そんなことないっ! 絶対にないから!」と叫んだ。


「…………」

 その態度は、逆に私の命は崖っぷちにあると言っているようなものだった。


 心の整理はまだ何もできていなかった。それに、死への恐怖はじっとりと脳に纏わり付いたままだ。


 しかし、今、私がやるべきことだけはハッキリとしていた。


「お母さんでもお父さんでもいいんだけど、紙とペン、持ってない?」


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