概要
バツイチ子持ち親権なし。そして窓際軍人。
二十年前に起こった東西の衝突。
十九歳の野中は統合士官学校の学生というだけで、凄惨な戦場に駆り出されていた。
多くの同期が戦死するなか、彼は生き残ってしまう。
生き残ったとはいえ、野中の戦争で受けた心の傷は深く、その後遺症のため夫であり父親であることを挫折。
彼は癒えることのない心の傷を引きずったまま生きていた。
昭和から正化に変わって十年以上経つ現代。
未だ西と東に分裂しているが、平和な日常が当たり前になった日本帝国。
高校生の男子女子が学ぶ全寮制の陸軍の学校。
窓際ポストで窓際らしく生きていく野中。
そんな彼のもとに離婚して別れ離れになっていた娘が突然転がり込んでくる。それだけでなく差出人不明
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!39歳&ラブコメ&ミリタリー、すべてが無駄なく融和した芸術品!
アンバランスな組み合わせに躊躇することなかれ、39歳という年齢は飾りです。中身は誰でも共感できる、そこら辺にいる男子高校生と変わらない心の持ち主なんです!
最後まで拝読してすごいと感じたのは、物語を構成してる要素がすべてなんちゃって追加されているエッセンスではなく、すべてがしっかりと生きていたということ。
全体的な雰囲気としては主人公、野中の叱ろうとするけど叱り切れず、叱り切れないことを他の人に叱られるという、なんともぐんにゃりした感じ。ラブコメ特有の優柔不断でイライラする、みたいなことはあまりなくスッキリ読めるのもポイントです。なぜかは読まないと説明しづらい部分ではありますが!
個人的には…続きを読む - ★★★ Excellent!!!39歳バツイチ子持ち、さえないおじさんの物語が読む人の心をゆさぶる
何といってもこのタイトルですから、さえないおじさんが女性たちに振りまわされる、という物語を想像してしまいますが、まあ実際のところ、その通りです。本当に。
けれども、主人公の野中さんが女性たちに振りまわされる様子を描いた軽妙な筆致でニヨニヨしているうちに、いつしか姿勢をただして夢中でページをめくり、そして最後のエピソードを読みおえたとき、重厚な、けれども光にみちた読後感につつまれるはずです。
別れた奥さんに引き取られたツンケン娘の三和さん、少年漫画にでてくるような友達という関係のエニシさん、彼とおなじ陸軍少年学校に所属する凛々しい将校伊原さん、学校のカウンセラーの笠原先生、という女性たちにく…続きを読む - ★★★ Excellent!!!中年の枯れた魅力にあふれる素敵な主人公
本作の作者によるキャッチコピーは「翻弄され、取り乱しても、前に進む、そんなダメお父さんの物語」。
実に秀逸である。この題名とキャッチだけで作品の内容を余すことなく紹介できており、ターゲットの読者を狙い撃ちすることに大成功している。
まず最初に人を惹きつけることに成功すれば感想を書いてくれる読者が現れたり、ランキングにも入るようなことにもなって、ターゲット外の読者も興味を持って手に取ってくれるかもしれない。
というわけでキャッチコピーはやはり大事なのだが、本作で優れているのは何もタイトルやキャッチだけではない。
軍隊に勤務しバツイチの一人暮らしをしている野中博三。
そんな彼の下に別居して…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この冴えないおっさんがモテるのはよく分かるし、何なら私も煽りたい。
かつての戦争で武功を挙げて英雄と呼ばれたものの、その経験からくるトラウマによって精神不安定となり、今や陸軍少年学校で教壇に立つ日々を送る、万年窓際大尉・野中博三。
39歳、バツイチ。
そんな彼の元に、別れた妻との間にもうけた娘が転がり込んでくるところから、物語は始まります。
やる気があるのかないのか、常にユルいペースで人と接する野中さんには、なぜか一癖も二癖もある女性たちが絡んできます。
「友達」として大人の関係を続けるエニシ。
直属の部下である伊原少尉。
カウンセラーの笠原先生。
生徒会に所属する学生、長崎。
そして娘の三和。
ハタから見たら非常に分かりやすい矢印なのに、百点満点の鈍感さ…続きを読む