黒澤伊織

２話からなる短編小説。すごい発想であり、その発想を現実にする文章力も見事です。 前段の、歴史書をひもとくような固い筆致から、後段の、少女の独白。そのギャップと、真相に、読み終わっ…続きを読む

眠れない夜に、幼馴染の男からＬＩＮＥがきた。「いまから、そっち行く」と。 気づかれない恋心を抱きつつ、横から見守る、そういう恋の形もあるのでしょう。短い文章の中で、切ない恋心の風…続きを読む

世界各地の食べ物、そしてたまにレシピ。実際に経験した人でないとわからない、世界の食文化エッセイです。 国の文化と食事って、本当に密接に結びついているんですね。日本人向けにアレンジ…続きを読む

片思いのラブストーリーだと思って読んでいたら――まさかの結末。見事な短編小説でした。

淡々とした日常風景の描写と思いきや、前触れ無く入り込む、非日常の風景。夢を見ているような、幻想の世界を、丁寧な文章表現で描いてゆきます。 不思議な世界観です。つげ義春の漫画のよう…続きを読む

不思議なノートにより、過去と筆談しつつ、歴史を変えていくという、ＳＦやファンタジー的な要素の入った、歴史小説。 まず、ノートで過去とやりとりをするというアイデアの素晴らしさ。（ま…続きを読む

最近起こったいろいろなニュースの内容と、作者のコメントが入ったエッセイ集。 ワイドショーのニュースを読んでいるみたいで、軽く読めて良いです。私自身が、あまりテレビニュースを見ない…続きを読む

テストの日。筆記用具を忘れてしまった男の子が、シャーペンを借りたところから始まる、コミュ障ラブストーリー。 短編小説なので、１０分くらいで読み終わります。 コミュ障の男の子の気…続きを読む

タイトルどおりの、源氏物語を、現代風に読みやすく書きなおした作品です。（当然、内容は原作どおり） 試みが面白いし、それがきちんと成功しています。ほとんどの日本人が、古文の授業とか…続きを読む

あなたは、もし自分の寿命がわかっていて、死を迎える日が近づいていると知ったら――どこで死にたいですか？

ある人の場合、それは、美しい海を見下ろせる、高知にある一軒の家でした。

異世界ファンタジーを書こうとした作者は、ふと考えた。 この異世界に「時間」という概念はあるのだろうか、と。 そこから、作者の理詰めの世界構築が始まる――が、それは正しい答えなど…続きを読む

結婚２０周年の旅行中に、喧嘩してしまった夫婦を描いた短編小説。 恋愛小説ですが、激しい恋愛ではない、熟成された、家族としての、夫婦としての関係が丁寧に描かれています。クラシックの…続きを読む

作者の、一風変わった、個性あふれる短編小説集。少し陰湿な、アンダーグラウンドの雰囲気漂う作品が多いですが、内容の予想がつかないだけに、読んでいて面白いです。 ジャンルはＳＦとなっ…続きを読む

最初からミステリーだと知っていて、どういう謎だろうと思っていても――わからなかった。でも納得！　うまいです。きっと、あなたもだまされる！

残り少ない時間を生きる、青春物語。とってもきれいな文章と、情景です。ＳＦ的な世界観を、さらっと日常のように描写しており、胸を打ちます。とても素敵な、短編小説でした。

なぜ寿司職人は、うまい寿司を握れるのか？　真相は……。読んでいただければわかりますが、気持ち悪いのと、笑うのと、半々（笑）。想像したくないけど……、面白かったです！

第９６話まで読んだところのレビューです。 ファンタジー世界の、魔道書を扱う図書館を舞台にした、日常系小説。 １話完結型の連載で、それぞれテイストが違って、いろいろな物語が楽しめ…続きを読む

異世界転生により、人間がどんどん「いなくなっていく」世界、という設定が素晴らしいです。異世界転生ものの舞台裏のような設定。 一人、一人と、親しい人が消えていく。そして自分も「転生…続きを読む

いろいろな形、関係の「愛」がある。別に、男女の恋愛だけじゃなく、まさにタイトルのとおり「みんな誰かを愛してる」。 一つ一つのストーリーは、決して、はっきりとしたものじゃありません…続きを読む

超詳細レビュー。今のところ、対象は１作品だけで、今後増えてくると思いますが、１作品だけでも、これだけ詳細なレビューをするのは、すごいです。もう、担当編集か、と。 ぜひぜひ続けて、…続きを読む

目を覚ますと、知らない女の死体。いきなり事件に巻き込まれるスピーディーな導入から、ラストまであっという間に読み切ってしまいました。（長編ではなく、短編～中編くらいの長さです） ラ…続きを読む

意味、分かった！　そして怖かったです！　何かは、読めばわかります（丁寧にヒントもありますので、ご心配なく）

ほんと、考えられていて、よく出来た短編ホラーでした。

作者さんが大学時代に経験した、弓道部のあれこれをまとめたエッセイ。 体験した本人じゃないと分からないことばかりで、本当に面白く読めました。弓道って、結構、ネタとして使われることが…続きを読む

高知県出身の筆者による、土佐弁講座。標準語のルビと共に、土佐弁を解説してくれるので、とてもわかりやすく、興味深く読めました。でもこれ、初見じゃ絶対わからない……。日本は広いです。

暖かい家庭の、ほっこりとする風景を切り取った秀作。一枚の絵のように、ただ、その風景を描写する、そんな寿司小説でした。

学校での「いじめ」をめぐる、疾走感あふれるミステリー短編。 テーマの面白さや、キャラの強烈さもさることながら、独特の文体に惹かれました。 鬱々とした内面と、非現実的なキャラクタ…続きを読む

これも、一つの「世界」の終わり方。「世界の終わり」を舞台にした作品はいろいろとありますが、こういう切り口は斬新でした。

歌舞伎町の片隅にあるお店が舞台。人生のルートを、ちょこっと外れてしまった人たちにやさしく寄り添う、そんな物語。リアルな人間模様と、リアルな歌舞伎町の風景が、読みやすく、ほのぼのとし…続きを読む

短編小説ですので、ストーリーをここで紹介はできませんが、良かったです。現実的です。短いお話で、２～３分で読めると思いますので、ぜひ読んでみてください。

ホテル（ブラック企業）に勤める女性の、うつ病の記録。 うつ病の描写もさることながら、社会制度的なことの描写が、純粋に勉強になります。心理的な面だけでなく、実際にどう行動すべきか、…続きを読む

ねえ、その魚の頭、食べてもいい？ すごく印象的な、懐かれたような、甘えられたような言葉。その一言で、一気に、相手のことを気にしてしまう――。 飲み屋での、小さな恋の物語。すごく…続きを読む

リアリティのある未来風景です。国際政治の力関係、そして、薄っぺらではない、本当に実在の人物であるかのようなキャラクターたちが、この壮大な物語を群像劇として織りなします。 重厚なＳ…続きを読む

遠縁の叔父さんから聞いたという、戦争の話。身につまされる話です。こういう物語が何百万とあったのだと思うと、空恐ろしい気持ちになります。

さまざまな国（主にアジア）の旅行記。実際に行かないと体験できない、細かなリアリティーのある話です。地球の歩き方には書いていないタイプの話です。 一番衝撃的だったのは、安いタクシー…続きを読む

火事で、父と母を失い、そして後日、弟も……。 すべてを失った少女は、再び家族に逢いたいと、ある行動に出る。 最初から最後まで、身につまされるような小説でした。決して、晴々しい、…続きを読む

作者さんの祖父母の、戦争体験の話。戦争という大きな物語の、小さな断面として、とても興味深く読みました。 偶然の行動で原爆から生き残った祖父。戦後、アメリカ軍からハムとチーズをもら…続きを読む

肝試し感覚で、使われていないトンネルに行った４人の大学生の運命は……。 怖かった。いやー、怖かった（２回目）。 何がって、言いづらいですけどね、内容。ネタバレになりますし。うま…続きを読む

戦争に行き帰ってこなかった人、その人を待ち続けた人。その年月と想いを、シンプルな文章とストーリーで、美しく伝えてくれます。

小さな小さな、とても美しい短編小説でした。

短編小説、というよりも、ショートショートといったほうが良いくらいの短さの小説ですが、ぐっと来るものがありました。この話をどう受け取るか、人それぞれだと思いますが、私はぞっとするよう…続きを読む

スタンドバイミーのような、少年たちの、小さな冒険譚。かわいらしいオチもついていて、心温まる短編小説でした。こういうことって、大人になっても忘れないんだろうなぁ。

こんな出会いが、今、カクヨムのどこかで育まれているのかと思うと――、人の近況ノートを読む目にも気合が入りますねっ（笑）。 カクヨムを、こういう発想で見たことはありませんでした。斬…続きを読む

バレンタインデーの、バイトのシフトの風景を描いた短編小説。すごく共感できます！　バレンタインがテーマなのに、で、恋人の「こ」の字も登場しないのに、このキュンキュンする感じは一体、何…続きを読む

可愛らしい、ミーアキャットの一家が目に浮かびます。ほのぼのしてて、いいですねぇ。「ミーアキャット」が出てくる童話なんて初めてでしたが、たしかに、あの雰囲気はかわいくって、童話向きで…続きを読む

稀にみる、純粋な恋愛小説。舞台は、地上世界が壊滅し、人類は地下で暮らし、平均寿命も大幅に下がっている――という、ディストピア的世界観ですが、あくまでＳＦではなく、恋愛小説です。 …続きを読む

バレンタインにぴったりの、ショートショート小説。過不足のない、シンプルで、とてもあたたかい――読んでよかったと思える小説でした。

女性同士の友達づきあいの話――といえば、それまでなのですが、その表現が詩的で美しいです。詩とエッセイと小説とが、溶け合ったような、そんな作品。 こういう表現の仕方もあるのだなと、…続きを読む

外部と遮断された閉ざされた空間で、一人一人、被害者が出てゆく――真犯人は誰？　という、絵に描いたようなクローズド・サーキットの本格推理。 ガチで、正面からの本格推理。いいですねー…続きを読む

死んだ伯父の借金を相続してしまったことから始まる、裁判の顛末。誰にでも起こりえることだけど、身近ではない問題。 とても興味深く読めました。フィクションというよりも、ドキュメンタリー…続きを読む

関東から会津に越した、女性の情景を描いた短編小説。

会津の冬の厳しさと、人の暖かさと、そして春の待ち遠しさと。。。会津に行ったことのない自分でも、その風景が目に浮かぶようでした。

まだ未婚の「おじさん」が、妹の家を訪ねたときに、姪っ子のお菓子を買いに行かされる情景を描いた短編小説。 普段、スーパーに行かない男の人の感情と、暖かい家庭へ少し憧れる感じとか、う…続きを読む