創作する人間にとって、経験で培った知識というものは非常に貴重な武器であると思います。
インターネット全盛の昨今においては、通り一遍の知識だけならば専門書を購入するまでもなく、web上での調べ物で事足りることも少なくありません(情報の精度の問題はありますが)。
しかしそれらは、所詮「ただの知識」でしかなく、実際に体験することでしか得られない情報――匂いや音、独特な雰囲気が欠けています。外付けの知識であり、決して自らの血肉ではありません。
本作は弓道について解説するだけではなく、それを通じて得られた体験やちょっとした小話を交えてくれているので、現場の空気のようなもの――リアリティを感じられます。知識だけの後付けでは見落としてしまう、「無駄」と思えてしまうような些細な要素こそが、リアリティを醸し出すのだな、と再認識させられました。
弓道で使われる用語や備品、試合の形式について説明してくださっている作品です。
かけ(スマホでは漢字が出ませんでしたすみません!)、冷静に考えたら当たり前ですが、経験者でないと絶対に浮かばない道具だと思います。そう言えばドラマを見ているとみんな手袋みたいなのをしている。弓を引くのに大事なものだったんですね。
あと、馬に乗る時、右手で手綱、左手で弓、とか。これも、言われてみれば、そうだよな、と思うのですが、この作品で触れられてやっとなるほどと思いました。
また、時折和弓と洋弓の違いについても説明してくださっています。
合戦をする小説を書いているひとは絶対読むべきだと思います。
勉強になりました。ありがとうございます。
とは言え難しい、お堅い作品ではありません。むしろ、やさしく分かりやすいです。
作者様の弓道部時代のエピソードを交えて書かれているので、場面を想像しやすく、また時々くすっと笑えます。青春ですね!
女子部員の矢を探してあげる話とか、鳴きをやらされる下級生の話とか。ああ、大学生だ……と思いました。
袴、ほんと、真冬は地獄ですよね。私は剣道少女だったので袴のいいところ悪いところだけは何となく分かります……。
弓道。いままで興味はありました。だって、かっこいいじゃん! 和装で弓を構えてる姿(とくに女子!)は、凛々しくて。
でも、あいにく私が学校生活を送った母校には弓道部がなく。残念ながら接する機会がありませんでした。
学校に弓道部があったら、きっと体験に行ってみたのになぁ。
その弓道の世界を、わかりやすく簡潔に教えてくれるこの作品。
ちょっと弓道には興味あったけど、接する機会のなかった貴方!
小説の中に弓道少女や、和弓使いを登場させてみたい貴方!
必見ですよ。
ときどき、ちょろっと出てくる中二病的なものが、溜まりません。きっと当人にとっては黒歴史なんでしょうが、端から聞く分には美味しいです。思わず、にやり。