知識と経験の差は大きいのだな、と再認識させてくれる良作

 創作する人間にとって、経験で培った知識というものは非常に貴重な武器であると思います。
 インターネット全盛の昨今においては、通り一遍の知識だけならば専門書を購入するまでもなく、web上での調べ物で事足りることも少なくありません(情報の精度の問題はありますが)。
 しかしそれらは、所詮「ただの知識」でしかなく、実際に体験することでしか得られない情報――匂いや音、独特な雰囲気が欠けています。外付けの知識であり、決して自らの血肉ではありません。

 本作は弓道について解説するだけではなく、それを通じて得られた体験やちょっとした小話を交えてくれているので、現場の空気のようなもの――リアリティを感じられます。知識だけの後付けでは見落としてしまう、「無駄」と思えてしまうような些細な要素こそが、リアリティを醸し出すのだな、と再認識させられました。

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