命がけのイミテーションゲームが始まる

コンピューターに知性が備わっているか否かを判断する実験に、チューリングテストというものがある。
簡単に言うと、人間とコンピューターに同じ質問を投げかけ、得られた回答のどちらが人間のもので、どちらがコンピューターのものかを、第三者に判断させるというもの。
もし第三者が両者の違いを区別できないようならば、「コンピューターには知性がある」とみなす。この手法は「イミテーションゲーム」とも呼ばれるそうだ。

もちろん、テスト自体の欠点や、「知性」の定義という諸問題もあるが、その点については私の俄か知識を披露して恥をかく前に専門家に譲ることとして――本作はその、イミテーションゲームちっくなシチュエーションに主人公達が放り込まれ、命がけの「答え合わせ」を強いられるというものだ。

アイディアだけならば類似作品もあるかもしれないが、本作が徹底しているのは、「犯人」たるAIの台詞がGPT-3によってアウトプットされた「本物」である点だ。
しかもそれが、成井氏の巧みな文章運びによって物語の中に溶け込み、実に自然な会話劇に仕上がっている。

最近はイラスト生成AIについても流行っており、素人目には見分けるのがなかなか厳しくなっている。
けれども、現段階ではまだ、見る人が見ればその不自然さやAI独特の癖に気付くレベルだという。
AI生成の文章についても、イラストのそれとはまた違った癖が、まだまだある状況だ(と思う)。

しかし、「彼ら」の進歩は目覚ましい。
数年後には、こういった「犯人当て」ゲームさえも難しいレベルにまで、精度が上がってくるかもしれない。

楽しむのは今のうちかもしれない(ので、みんなも読んで考えよう)。