恋するドラゴンは麗しき二重奏を紡ぐことが出来るのか?

あらすじにもある通り、本作は二つの時代を描きつつ、それら異なる時間軸同士が絡み合っていくという、タイトルの「二重奏」にかけた構成になっている。

プロローグは直球のローファンタジー。
「え、ドラゴンがバイオリン!?」という展開にまず度肝を抜かれる。しかも、次に来るのが大戦下のパリで逆境にめげずに奮闘するバイオリン教師、更に次に来るのが現代の音楽学生のストーリーと、目まぐるしく風景が変わっていく。

「はて、これは一体どのような物語なのか?」と気になって読み進めた時、既に読者は作者によって奏でられる二重奏に絡めとられている、という寸法だ。
一見するとバラバラに見えるそれぞれのストーリーが、読者に仄かな繋がりを感じさせながら進行し、遂にハーモニーとなる構成力は見事の一言。

音楽知識や時代描写を絡めつつも、キャラクターたちの心情にこそ寄り添った物語運びに、気付けば一気読みさせられていた。

間違いなくお奨め出来る一作。

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