他聞に漏れず、当方が最初に源氏物語に触れたのは高校教科書。なにかにつけメソメソするのが気持ち悪くて、生理的に無理だった。同時代なら、敵も味方も認め合う、いかにもクラシックでおおらかな合戦シーンが気に入った平家物語のほうに惹かれた。
そんなわけで源氏のほうは薄い知識として持ったに留まったが、今回これ読めて良かった。
権力を傘に無理やり関係を持ったり(現代なら犯罪)、幼女を誘拐幽閉して自分の女としたり(現代なら極悪)、なんなのこの主人公w ピカレスクロマンでもなんでもなく、純粋に「いい男」として造形されているのが気持ち悪い。
当時の読者(貴族)がこの主人公に感情移入してたってことは、多かれ少なかれ同様のことをしたりされたりしてたんだろう。
それでも凄いと思うのは、細部の繊細な心理描写。神話や説話でなく、さすが「世界初の小説」なだけある。それと和歌の才能。
そうした部分を知れたのは、ライトノベル版だからこそ。「有名な古典だから」とか先入観なく触れることで真実が見えるというか。大変な作業だと思うけれど、ぜひ頑張って続けてもらいたいなあと。
タイトルそのまま、読みやすくわかりやすい文体で書かれた源氏物語です。
内容はおそらく原作どおりなのだと思います。でも、大和和紀先生の『あさきゆめみし』で源氏物語を読んだ気になっていた私としては驚きの展開の連続です。そういう話だったのか……漫画で美しく脚色されているよりも生々しく感じる!
でもこの光源氏ならこういう行動になるのもわかる……。なるほどこれが源氏物語。
若紫編十四話目まで拝読した現在、最近の紫の上に対する彼はだいぶ気持ちが悪いですが(笑) その様子も目に浮かぶようで本当に面白いです。空蝉の時はだいぶちゃらかったのにな。
紫式部先輩はすごいなあ。千年前からこんなぶっとんだ話を書いていたのか……。
この題材でお書きになられたこちらの作者様に感謝します。
わがままを言うと、和歌の意訳が本文中にあると本当にとても嬉しいです……。
千年も昔に紫式部によって書かれたのが、平安王朝絵巻『源氏物語』です。
少女漫画の題材にもよく取り上げられるきらびやかな王朝の世界や、貴公子と姫君たちの恋に興味があって『源氏物語』を読んでみたい……。でも、何だか難しそう……。
そんなふうに尻込みをしてしまっている方もけっこういることでしょう。
そこで、ぜひおススメなのが、このライトノベル風『源氏物語』!
物語の名場面を丁寧かつスマートにまとめ、文章も非常に分かりやすいです。原書を上手く噛み砕きつつも、美しく儚い『源氏物語』の良さを損なっていません。
だから、ライトノベル風『源氏物語』をまず読んでこの物語の魅力を十分に知った後、原書の『源氏物語』に挑戦してみるといいでしょう。
あっ、ちなみに私はヒロインの中では紫の上が好きです。
光源氏はさぁ……大人しくメインヒロインの紫の上だけを幸せにしとけば良かったんだよぉぉぉぉぉぉっ!!(# ゚Д゚)