主人公のトンデモ行動を先入観なく楽しめるのは、ラノベ版だからこそ!

他聞に漏れず、当方が最初に源氏物語に触れたのは高校教科書。なにかにつけメソメソするのが気持ち悪くて、生理的に無理だった。同時代なら、敵も味方も認め合う、いかにもクラシックでおおらかな合戦シーンが気に入った平家物語のほうに惹かれた。

そんなわけで源氏のほうは薄い知識として持ったに留まったが、今回これ読めて良かった。

権力を傘に無理やり関係を持ったり(現代なら犯罪)、幼女を誘拐幽閉して自分の女としたり(現代なら極悪)、なんなのこの主人公w ピカレスクロマンでもなんでもなく、純粋に「いい男」として造形されているのが気持ち悪い。

当時の読者(貴族)がこの主人公に感情移入してたってことは、多かれ少なかれ同様のことをしたりされたりしてたんだろう。

それでも凄いと思うのは、細部の繊細な心理描写。神話や説話でなく、さすが「世界初の小説」なだけある。それと和歌の才能。

そうした部分を知れたのは、ライトノベル版だからこそ。「有名な古典だから」とか先入観なく触れることで真実が見えるというか。大変な作業だと思うけれど、ぜひ頑張って続けてもらいたいなあと。

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