概要
深層から地上を目指して迷宮を上がってくる機人。防人と呼ばれる異界との境界を守る達人たちなど、さまざまなキャラクターたちが樋口と出逢い、その運命と交錯する。
やがて迷宮から抜け出した樋口は己の存在を根底より揺さぶる真実を知ることになる。
苦悩と葛藤。
決して晴れぬ迷いを抱えたまま――
果たして樋口は迷宮へともう一度足を踏み入れるのだった。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!時代劇、異形の迷宮、無頼漢
一口にいえば大江戸ウィザードリィ、となるわけですが、本作の魅力はその世界のディティールにあります。読み進めるにつれ分かってくる迷宮の異常性。最深部に座す虚空権現は人の願いを叶えると言われ、迷宮は哀れな探降者たちを日々飲み込んでいます。その死体の成れの果てが薬に加工され、探降者の命を繋ぐ不気味。江戸の地は迷宮から齎された奇妙な植物や生き物、慮傍と呼ばれる異種族に侵食され、もはや読者の知る江戸ではなくなっています。迷宮という異形の世界と、その狂気に飲み込まれていく探降者の在りよう。このあたりが作品の良さでしょう。
そしてそこに登場する主人公、樋口。万事いい加減で善人でもないが、さりとて悪漢と…続きを読む - ★★ Very Good!!ローカライズの妙技。大江戸ダンジョン物語。
※作品は絶対評価したいので星の数は適当です(全部星二つです)。
※二章四話まで読んだ感想です。
江戸の町に、突然ぽっかり大迷宮が現れた。最深部にある虚空権現に願いを叶えてもらうべく、探求者たちは今日も行く。それはそれとして、咎人たちにとっての罪を雪ぐ処刑場にもなっているらしいぞ。生きて出られたら無罪放免だとさ。
『ウィザードリィ』『ドラクエ』『不思議のダンジョンシリーズ』各種MMORPGなどの世界観を、まるっと江戸時代にローカライズして、その上で『疾走する玉座』の作者らしい、広範な知識を駆使した闇鍋ごった煮カオスシチューな味がふんだんに楽しめる、イカした物語です。
※※
イカれたメン…続きを読む - ★★★ Excellent!!!大江戸ウィザードリィの奇想にハマる
いきなりダンジョン深層に放り込まれて、生きて戻るために探索するってアツくないすか。しかもとんでもない奇想モンスターやからくり人形とか出てくるし。しかもダンジョンが生まれた経緯とかが凝ってる。当方自作も設定厨の気味があるせいか、こういうの大好き。
ウィザードリィ初代にハマった人ならわかると思うけど、「この扉を潜らないと先に行けないけど、進みたくない(ワープさせられ迷子になるかも)」「この階段を降りないとならないが、階層が深くなると絶対ヤバい奴出てくるから行きたくない」といった感覚。あのゲームは特にキャラロストの危険性があるから、すごい緊迫感があったじゃないすか。
本作にはあれがある。とい…続きを読む