私にも待っていた人がいた。一日千秋の思いをこめて。だから彼女は幸せですね。待つのではなく、追いかけることができたんですから。とても静かな小説です。人のこころは美しい。
戦争に行き帰ってこなかった人、その人を待ち続けた人。その年月と想いを、シンプルな文章とストーリーで、美しく伝えてくれます。小さな小さな、とても美しい短編小説でした。
とても綺麗で、とても儚く、とても悲しい。これは、小説なのか。本当にあったことなのではないか。いや、本当にあったことの中にある事実なのではないか。読み進めるほどに胸が苦しくなります。叶うなら桜の花びらが寄り添えることを――――。語る文章の優しさに、作者の本質を見た気がしました。
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