ひと言で言っちゃいますと、この作品は叙述トリックです!
主人公はいっしょに暮らし始めて7年めになる、世界でいちばん愛してる“真波”さんが、今日っていう記念日を忘れてないかなと不安でたまりません。
お風呂は気持ちいい。ハンバーグはおいしい。でも、主人公のはやる気持ちは募るばかり……
というのが物語の起と承の部分。
1345文字のショートショートなので、この次はもうどんでんが返ってオチになるのですが、
いや、やられます。
すばらしく綺麗に落とされて、見事にだまされるんですよ。
これ以上は謎が解けちゃうので言えませんけれども、ムダを極限までそぎ落としたソリッドさがなによりの魅力です。
トリックを成立させるには、たったひとつのしかけがあればいい。
そんな基本的でなにより大切なことを、たった3分で教えてくれる良作ですよ!
(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)