概要
あなたのこと、もうだーれも覚えてないよ
「あいつを消してください。おさるさま」
中学三年生の霧華はある朝、異変に気付く。祖父母や学校の友達の様子がおかしい。誰に話しかけても反応されない。まるで、自分の存在が無いもののようになっている。
霧華を消したという少女は、“おさるさま”に願ったのだと語る。
一方、ある探偵事務所には「夫が消された」と訴える依頼人が駆け込み…
中学三年生の霧華はある朝、異変に気付く。祖父母や学校の友達の様子がおかしい。誰に話しかけても反応されない。まるで、自分の存在が無いもののようになっている。
霧華を消したという少女は、“おさるさま”に願ったのだと語る。
一方、ある探偵事務所には「夫が消された」と訴える依頼人が駆け込み…
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!愛は罪業
誰かを好きになっただけ、他のひとやものごとが遠ざかるのはよくあること。だがそれも過ぎれば、しばしば恐ろしい事態に至る。
憎い相手を超常の手を借りて消す所から始まる物語は、最愛の人のために、それ以外を手にかける、捨てる選択を取った人たちのお話でもありました。
例外もいますが、どの登場人物たちも鬱屈とした背景を持っており、その屈折していく様や悪意の煮えたぎり具合は実に読み応えたっぷり。人間の暗く重たい部分をたっぷり味わえるという点が、本作がホラー小説であることの何よりの芯だと思います。
選択は、選ぶ前からその選択肢があったということ。であれば、それを取った責任もまた負い続けなければいけない。…続きを読む