もうみんな忘れちゃった人

ぴのこ

おさるさま

とある罪人の懺悔

 神は罪びとの死を望まず、むしろ回心して生きることを喜ばれます。信頼をもって神の招きにこたえましょう。


 もし人の過ちを赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたの罪をお赦しになる。しかし、もし人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたの過ちをお赦しにならない。


 神のいつくしみを信頼して、あなたの罪を告白してください。



「私、姉を殺しました」


 …はい?


「いえ、殺したのではなく消したと言うべきかもしれません。厳密には、私が殺したのではないのかもしれません。それでも」


「おさるさまに願って、霧華きりかお姉ちゃんを消してもらったのは私です。私の罪なのです」


 申し訳ありませんが…仰る意味が…


「神父さま。あなたは霧華お姉ちゃんのことを二度と思い出せません。私がここを出れば、この話も覚えてはいられません。ですからこれは、神に向けた、私のための懺悔なのです」


「父よ、私はあなたに対して罪を犯しました。もう、あなたの子と呼ばれる資格はありません」


「罪びとの私を、あわれんでください」

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