日記 ②

2024年 4月10日(水)

 やっぱり、3年生に上がっても私には友達ができません。クラス替えしても学年のメンバーは変わりませんから、みんなの中で仲良しの輪はもうできています。今さら、私と友達になってくれる人なんていません。私と友達になるメリットなんて無いでしょう。今日も休み時間はずっと、机に突っ伏して寝たふりをしたり、授業の宿題を片付けたりして過ごしていました。早く休み時間が終わって、授業が始まってほしいとずっと思っていました。周りの人がこっちを見てクスクスと笑っている気がして、嫌でした。

 霧華お姉ちゃんが学校でたくさんの友達に囲まれていたことを思い出します。霧華お姉ちゃんは友達と一緒にいる時に学校の廊下で私と出くわすと、いつも無視してきました。嫌なものを見たかのような顔を向けてくる時もありました。学校で何かされるよりは良かったけど、やっぱり腹は立ちます。放課後なんかは嬉々として私に寄ってきてバカにしてきたくせに。でも今考えてみると大きかったのは、霧華お姉ちゃんに学校で無視されたことへの苛立ちよりも、いつも友達と楽しそうにしている霧華お姉ちゃんへの嫉妬心だったのかもしれません。

 霧華お姉ちゃんは、人に好かれるのが上手い人でした。とても綺麗で、自信に満ち溢れていて、全身から明るいオーラを放っていました。体育の授業で運動してるところを見かけた時は、太陽みたいにきらきら輝いてるなって思ってしまいました。

 おじいちゃんとおばあちゃんも、霧華お姉ちゃんのそんな明るい雰囲気が好きだったんだと思います。子どもの頃から霧華お姉ちゃんは明るくて、私は部屋の隅っこで絵本を眺めていたような引っ込み思案な性格でしたから。どっちを可愛がるかって言ったら、それは私よりも霧華お姉ちゃんでしょう。当然だったと思います。


 だからってなんであいつはおじいちゃんとおばあちゃんの家で楽しく暮らして、私がこの家で我慢しなきゃいけなかったんだよ。私はスマホだって持ってないのに、霧華お姉ちゃんは欲しいものをなんでも買ってもらえて。ずるい。そのくせ私を馬鹿にしてきて。蹴り飛ばして。だからあんな奴、報いを受けて当然だったんだ。


 今日も嫌なことばっかりでした。でも大丈夫。

 おさるさまが、もうすぐ助けてくれます。

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