第171話 あとがき(10)

「殿~、別にわらわは殿と朝比奈泰長泰長関係は以前から知っていることなど別に怒ってなどいませんが」


 俺の可愛い瀬名新妻さまは別に二人の関係は以前から知っていることなで気にはしていないと告げてくれたのだが。


 じゃ、何故、瀬名! お前はそんなに不機嫌なんだ? と、あの時の俺は思ったねぇ~。


 だからあの時の俺は正座をしたまま瀬名新妻さまの麗しい顔を見上げ──見詰めながら首を傾げると。


「わらわは怒ってなどいませんが、朝比奈泰長泰長はいい加減な殿に対してかなり怒っていると思いまますよ? だから殿はわらにではなく朝比奈泰長泰長に聞いてください……。それに朝比奈泰長泰長もいつまでも下を向いてはっきりとした様子を殿に見せずに、ちゃんと言いたいことは言いなさい。特に貴女の件は今川義元御方さまや奥方さま……。そして貴女の御両親もとても気がかりで心配していることですから。今直ぐ殿にどうしてくれるのか? と問わないとだめですよ。朝比奈泰長泰長……」


 瀬名新妻さま朝比奈泰長泰長へと今川義元御方さまや奥方さま……。そしてあいつの父親である朝比奈信置殿や、その奥方さまも朝比奈泰長泰長剣で心痛だと告げる。


「分かりました、奥方さま……。では殿へとちゃんとわたくしの口から伝えます」


 朝比奈泰長泰長瀬名新妻さまに説得されて、俺へと何か重大なことをちゃんと告げると決意をするのだが。


 あの時のあいつは何故か瀬名新妻さまのことを奥方さまと……。


 そう俺、今川元信の家の奥を束ねる者を呼ぶ時の畏まった呼び方をするから。俺はその時も『??』と首を傾げる。






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