第23話 では代案を出せと言ってくるでごじゃる(3)
でッ、終われば今川の親父さまはこの通りで……。唸りながら自分の腕を組み、背筋を伸ばし思案を始めだした。
「……竹千代殿の意見は、御方様の意見と一緒で、実の父を甲斐から策を弄して追い出した武田晴信殿はとても信用のおける人物でないと思われている意見の通りですな……」
「うむ、そうで、ごじゃるな……。麻呂は、このような子供が武田晴信に対して、余や和尚と同じ考え方を持っていたとは正直驚いたで、ごじゃる、よ」
あの時の俺の考え方と今川の親父さま……。そして太原雪斎和尚さんも一緒みたいで、
それでも今川の親父さまは足利家には西の大内、東の今川がいると世に謳われた通りに、この戦乱の世と古都の荒れた御様子嘆き……。御門と足利幕府の再建と民の平穏……。安定して暮らせるように、大内義興公のように京へと自軍を率いて上京果たしたい思いがあるから、銭変えられないので武田、北条との同盟を前向きに考えていたみたいだが。
やはり今川の親父さまには不安が残るようで、同盟の件を決めかねているところに俺が二人と同じことを危惧したから驚愕したみたいだ。
「……でッ、ござるな……。御方様、この和尚も竹千代殿の意見と先見性には正直驚いているので御座います……。特に竹千代殿の提案である晴信殿と同盟を結ぶのではなく、信濃の村上義清殿や信濃の長尾景虎殿と強い盟約を結び、甲斐の虎へと当たる牽制策取る案……。それを明国の古の英雄達……。楚・漢合戦を例に例えながらの解りやすい説明は、この和尚も正直驚き、割腹しましたぞ。あっ、はははははは……」
「うむ、和尚の言う通りで、ごじゃるよ。余も正直驚いているで、ごじゃる……。特に漢の国士無双の無念の話は余も知らぬ話で、ごじゃる、から正直おどろいた……。和尚は知っておったか?」
「ええ、私は明国の古い書持を読み史記や西遊記、三国志、水滸伝等の物語も知ってはいましたが、普通の者達は知らぬ話で御座いましょう……。なのに? 何で竹千代殿は、明国の太古の英雄達の話を知っているのでしょうか?」
どうだ! 凄いだろう! この俺さまは! そんじょ、そこらの者達ではない! 未来から転生してやってきた神や仏のような人物……。
それも未来の世に謳われる三英傑の一人、徳川家康さまだぞ! わっ、ははははは! と俺が調子よく、機嫌よく、自分の脳内で自画自賛をするような台詞を天下の知恵者に分類されるだろう、超有名人の
「うむ、確かにのぅ、和尚の言う通りで、ごじゃる……。竹千代~、そちは誰から、その話を聞いたのだ?」
まあ、今川の親父さまの場合は雪斎和尚とは違い興味本位で俺に尋ねてきたのだけれど。
俺自身が未来から竹千代として生まれ変わりを遂げた人物なのだと説明をしても爺二人は納得できずに困惑するだけだろうから。
俺はさて、二人に何て説明をしたら良いのだろうか? と。う~ん、う~ん、と声をだし呻りたいくらい悩むのだった。
◇◇◇
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