第17話 えっ! まだ三国同盟をしていないの? (1)

「御方様?」

「何事で、ごじゃ、るか、雪斎和尚?」

「以前私が御方様へと提案した件で御座いますが……」

「ああ、我が今川家と武田と北条との同盟の件で、ごじゃ、るな……」

「はい、その件で御座います、御方様……。私としては今後の今川家の事を考え、西を目指すとするならば。このまま武田や北条と県境で小競り合いを続けるよりは、一層の事同盟をして、後方の憂いを無くす方が宜しいと思いますが。御方様、どうでしょうか?」


 あの時の俺……。織田信長ににフラレ、捨てられた俺がさ、謁見の間を出て──トボトボ、ドナドナと下を向き、肩を落としながら廊下を歩いていているとさぁ、二人の爺の会話……。それもヒソヒソ、ソワソワと小声ではなく、今川の親父さまが無茶苦茶面倒くさそうな声音と、雪斎和尚が、そんな御当主さまの様子を困惑の表情で見詰めながら会話……。


 それも今後の今川家の方針を決める大事な話……。


 そう、織田信長公シリーズのゲームが好きな者ならば大抵は知っている超がつくほどの有名なイベントの一つである、甲相駿三国同盟こうそうすんさんごくどうめいの話が幼少期……。人質身分の俺の耳へと突然入ってきた。


 だから俺は脳裏でえっ! と驚嘆すれば、下を向いていた顔を上げ──! 甲相駿三国同盟こうそうすんさんごくどうめいっていつの話だっけぇ~? と考える人になり。


 そういえばN○Kの大○ドラマで231554とか言ってなかったかなぁ~? と、中身がアラサーな俺は、自分の記憶の片隅にある過去の記憶を手繰り寄せ、思い出しながらフムフムと思えば。

 俺が今川家への人質になったのは、いつだっけぇ~? と悩み始める。



 あっ! そう言えば? 俺が今川家へと人質に入ったのは161547ぐらい、だったはずだ? と思えば。俺は不味い! やばい! これはいかんぞ~! と。俺は何故かあの時にお節介に思ってしまうのだ。

 俺自身は今川家の人質の身分だから、今川家この家織田信長の奇跡的な奇襲作戦に遭い。今川の親父さまが討たれ、この家が歴史通りに衰退しなければ、俺が戦国大名の一人として、岡崎城で自立することなどできないのに何故か、クソガキだった俺は、自分の過去の記憶……。戦国大名達の史跡……。足跡を思い出せば、自分の身体が無意識に踵を返して反転──! 元居た部屋……。謁見の間へと血相を変え走りだしながら。


「御方さまー! 御方さまー!」と。

「雪斎和尚さまー! 和尚さまー!」と声を大にして叫びながら廊下を走りだすものだから。


「竹千代殿ー! ちょっと待たれよー!」、

「ちょっと待ってくださいー!」


 俺を今後今川家で使用する部屋へと案内してくれていた武士の兄ちゃんも。俺が急に反転して走り出すものだから、慌てて反転して追いかけてきたけれど。狸のように素早い俺だから。兄ちゃんが俺に追いつき取り押さえるまでには、今川の親父さまと雪斎和尚の前に着いて──! 俺はドン! と二人の前で、真っ赤な顔をしながら飛び座るように慌てて正座をした。


 そして俺は自分の「はぁ、はぁ」と荒くなっている息を整えながら、爺二人へと中身アラサーな、未来を知る俺的な意見を告げようとしたら。


「こらぁ~! 竹千代殿ー! 御方様の前で失礼でござるよ」


 俺を部屋へと案内をする監視役の兄ちゃんが追いつき、後ろから頭を押さえつけられて、板床の上に自分の顔をベタリと押し付けられ。


「い、痛い」と悲痛の声を漏らせば。


「松平の若君を離してやれ」


 太原雪斎雪斎和尚が俺の頭を押さえ、身動きをとれないようにしている兄ちゃんへと、自分の首を振り、解放しろと告げてくれた。


 だから俺は自由になれたから、自分の頭を上げ──雪斎和尚の方へと身体の向きを変え、武士らしく凛々しく、頭を下げ。


「雪斎和尚さま、ありがとうございます」


 俺は正座のまま太原雪斎和尚へと【雪斎和尚さま】と告げてしまった。


 だからあっ! と思った。


 でも直ぐに、「竹千代、麻呂に何用じゃ?」と、《《東海道一の弓取》)と言われた足利幕府の名門家の化け物爺が不機嫌極まりなない声音で俺に尋ねてきた。


「はっ!」と俺はまた凛々しい若武者らしく、今川の親父さまへと返事を返して、眼を瞳を見詰めながら。俺の思いを打ち明けるために自分の口を開くのだった。




 ◇◇◇






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