第16話 おじゃるにお目通り? (1)
私は誰? ここは何処? 俺は一体何処にいるんだよ~~~!? は、もう既に話が飛んで終わったから次へと話しを進めるけれど。
俺が異世転移──。過去へと飛んだ場所は俺がガキの頃から~、小中高校生を卒業するまでの間に習った歴史とは少し異なる異世界転生ではよくある話でね。俺が他国の変態ロリコン野郎に首を絞められ、躯になる最中にね……。
今度俺がもしも人間として産まれ変われるならば他国から弱い民を守った
俺はみなの知っている通りに幼名竹千代……。そう本当にあの徳川家康公として過去へと産まれ変わった。
でもこの世界は俺が学問で習って世界とは違い、歴史的にも有名な人物の女体化……。
そう、俺の元カノ……。
俺はあいつに猿と両天秤かけられ。俺は岡崎の国人領主……。でもあの猿は噂によると日輪さまの子……。天子さまの落胤ではないのか? と噂がある。
だからアイツは織田家を纏めて、織田の親父殿の悲願である、織田の家紋のついた御旗を京に掲げたいと思っている吉の奴だから、俺の純情な心……と言っても。まあ、幼い俺の中身はアラサーのおじさんだけれど。それでもさ、俺はマジで吉に惚れていた! いくらアイツが超がつくほど生意気な傾奇者……。ヤンキー姉ちゃんだとしても、アイツが歴史通りの天下人になりたいのならば、俺が気の荒い岡崎衆を率いて盾になり今度こそ天下人にする……。
そう、異世界ファンタジーの冒険譚の醍醐味でもある、歴史に逆らい楯突き抗う。そして二人は歴史を覆して結ばれ、俺はエール酒で脱色した茶髪のヤンキー娘に種付けを多々して子宝に恵まれ、大家族さま仕様の家庭にするのが夢だった。
でも吉の奴は俺のことを愛していると言ったのに裏切りやがった! だから俺は許さない! 許さないのだ! と憤怒しているのならばいいのだけれど。
只今の俺は他人が傍から見てもわかる通りで落胆……。
そう失恋をした俺は、自分の肩を落とし、下を向きながらトボトボと力無く歩いては、偶に自分の歩行を止め「はぁ~」と大きな溜息を漏らし。俺の前を歩く、今川の家臣の兄ちゃんがその都度、自分の足を止め──後ろを振り返り、首を傾げるほどの落ち込みようだから。
俺は
「お主が竹千代か~? 麻呂が今川義元でおじゃる」
今川の親父さまも俺の噂……。
そう松平の子せがれは、織田のうちけの影響で大変に活発な子……。
今川一族のツンデレ姫の誰かと俺を婚姻させる……。まあ、この辺りは前世の俺が歴史や資料、ドラマで習い、観た通りの様子なのだが。
この俺さまが吉にフラれ、捨てられて、余りにも覇気がない様子だったから。
「雪斎和尚……」
今川のお歯黒、麻呂がの親父さまも流石に俺を見て悩み、雪斎和尚に、この子は本当に大丈夫なのか? と無言で尋ねたみたいだ。
でも雪斎和尚は今川の親父さまの困った顔を見ても、無言で首を縦に振り、御方さま大丈夫ですじゃ! と告げたみたいでね。
だから今川の親父さまは仕方なく、見た目がひ弱、貧弱、おチビな俺を見て、諦め、「はぁ~」と大きな溜息をつくと。
「竹千代~、長旅で疲れたであろう、部屋の方はもう用意をしてあるから、今日から今から案内される部屋を使用すれば良いでごじゃる」と。
元気のいい時の俺ならばプゥ~! と吐きだしたくなる台詞を告げれば。自分の手を出し、振り、家臣の者へと覇気の無い、目障りなガキを早く自分の視線から消せと急かした。
だから俺は先ほど今川の親父さまの前へと案内された家臣の兄ちゃんに腕を掴まれ持ち上げられ、今川館の謁見の間から追い出されるように出入り口へと、相変わらず気落ち落胆しながら向かうのだった。
◇◇◇
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